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北極圏では、すでに「16日も早い春」が訪れているらしい。温暖化の影響が集中して反映。米研究で判明(RIEF)

2018-03-06 21:55:26

rabitキャプチャ

 

 今年の北極圏は、10年前よりも16日も早く春が訪れている、と分析した研究論文が発表された。グリーンランド、シベリア、アラスカなどの極圏における温度の変化と、743本の生物気候学の文献等によって渡り鳥や花の開花、カエルの鳴き声などの時期の変化を調べて判明したという。

 

写真は、グリーンランド西北部のPituffikにあるチューレ米空軍基地周辺で顔を出した北米の野ウサギ)

 

 米カリフォルニア大学デービス校のEric Post、Byron A. Steinman、Michael E. Mannらの共同執筆で、国際科学誌Scientific Reportに掲載された。その結果、この10年間をみると、冬の終わりはロサンゼルスでは1日早くなっているが、北極圏では2週間も早くなっているという。

 

 また北半球全体でも春の訪れが早くなっているという。研究チームのリーダーのEric Post 氏は「春の訪れは早くなり、北極圏は低緯度地帯よりも春の来訪が大幅に早まっている」と指摘している。北極圏での春の訪れが早くなっているのは、温暖化の進行で、北極圏では気温の上昇が地球平均よりも2倍のスピードで高まっていることと、海氷部分が急速に縮小していることが影響しているとみられる。

 

 北極圏では例年のように、昨年10月以来、太陽が顔を出さない「極夜」が続いている。しかし、グリーンランド先北端の気候モニタリング局の観測データによると、気温は直近で61時間も連続で零度を上回っており、過去の記録に照らしても3倍以上も早いという。

 

rabit2キャプチャ

 

 また「デンマーク気象学機関」のシニア・リサーチャーのMartin Stendel氏によると、北極の中央部の気温は、平均的な冬の気温に比べて、4℃も温かいという。特に2月には、いくつかの地域で歴史的な平均を10℃上回った。同氏は、変動はあるものの、北極圏の気温上昇傾向は続くとみている。同氏はその状況を、次のように表現する。

 

 「浜辺に波が寄せる情景を考えてみよう。ある波は高く、ある波は低く寄せては返す。この現象が、まさにお天気と同じように見える。日々変わらない波の動きにみえる。だが、その背景では満ち潮がやってきている。 それが気候変動なのだ。すなわち、波それ自体は変わらないが、次第次第にあなたの足元に近寄ってくる」

 

 北極圏の場合、これ等の現象は、氷床の溶解や、海氷の縮小、陸上と海中両面での永久凍土の急増、冬なのに、雪の減少と、雨の増加――これらが、みんな、北極圏の春の訪れを早めているわけだ。

 

 一方でこの冬は、多くの北欧州地域において、吹雪や極寒の寒さに襲われた。デンマークのメディアは、デンマークからグリーンランドのDaneborg にある北極特別基地を訪問する人が増えていると、半分、ジョークで伝えている。なぜなら「デンマークよりも温かいから」。

 

https://www.nature.com/articles/s41598-018-22258-0