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福島・山形の再エネ電力を、東京都港区に供給。福岡県の自治体新電力「みやまスマートエネルギー社」が仲介。地方の再エネビジネス促進と、都市の低炭素化の同時実現目指す(RIEF)

2018-03-15 12:35:22

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 福岡県みやま市が設立した新電力会社の「みやまスマートエネルギー(MSE)」社は、福島県白河市の太陽光発電と、山形県庄内町の風力発電の電力を、同社が仲介して、東京都港区に供給する協定を締結する、と発表した。地方の再エネ電力を、電力需要の多い都市部に仲介することで、地方の再エネ事業の支援と、都市の低炭素化を同時実現を目指す。

 

  福島県白河市は、市役所本庁などに太陽光発電設備を設置しているほか、市内で発電事業を展開する5社の分を合わせると、年間発電能力は約35万kWあるという。現在は、こうした再エネ発電電力は、固定価格買取り制度(FIT)を利用して東北電力に売電しているが、今回、これらの「白河産電力」をMSEがまとめて引き受けて、東京都港区に供給する。

 

 港区では購入した電力を区内の公共施設等に供給し、区内の低炭素化を進める。白河市は売電収入を確保するだけでなく、港区との交流促進によって、市内でさらに発電事業者が増えるビジネスチャンスの拡大を期待している。売電収入の一部を活用して、そうした市内での再エネ普及を進める事業者を支援する基金の設立も検討しているという。港区への売電は2018年度から始める。

 

 また、山形県庄内町で開発の進む風力発電による再エネ電力についても、港区への導入を進める。庄内町では、地元企業が主体となって大型の風力発電施設13基の整備計画が進んでいる。こちらのほうは発電開始は2020年の見込みという。これらの連携事業の実施のため、白河市、みやま市、港区は3月19日に、庄内町、みやま市、港区は3月27日にそれぞれ協定締結を行う。

 

 再エネによる地域連携の仲介役を果たすMSEは、みやま市が中心となって2015年2月に設立した自治体新電力の先駆け。資本金2000万円のうち55%をみやま市、5%を筑邦銀行、40%を九州スマートコミュニティ(福岡県みやま市)が出資している。ただ、新電力の経営は、既存電力の顧客維持の防御が強いことなどから、MSEも2年連続で赤字を出している。

 

 しかし再エネ電力を求める都市部などでは十分な再エネ電力の供給が行われておらず、潜在的な市場は大きいとされる。そこで、MSEでは自らが他の自治体間をつなぐ仲介役となって業務を拡大する戦略を進めている。すでに、東京都目黒区の公共施設へ、宮城県気仙沼市の木質バイオマス発電所で発電された電力を供給する事業も実施している。

 

http://miyama-se.com/wp-content/uploads/2018/03/5e1b0997656af0fd9f083fa21358c3eb.pdf