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日本で新規計画中の約40基の石炭火力発電所。計画地ごとの大気汚染影響がわかる「石炭汚染シミュレーションマップ」。グリーンピースとKIKOが共同で公開(RIEF)

2018-03-20 19:02:43

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 環境NGOグリーンピース・ジャパンと気候ネットワーク(KIKO)は、現在、日本各地で計画されている40基以上の石炭火力発電所が稼働した場合に生じる大気汚染物質の拡散状況をシミュレーションできる「石炭汚染マップ」を公開した。追加的に発生する大気汚染の状況を視覚的に示しており、発電所建設地の近隣住民が、自らに汚染状況を確認できる。

 

 パリ協定締結後、地球温暖化や大気汚染を悪化させる石炭火力の建設・運転が世界で停止され、金融機関による石炭火力事業への投融資を引き揚げる「Divestment」も広がっている。しかし、日本では現在、100基以上の石炭火力が稼働しているうえに、追加的に40基以上もの新設計画が進められている。

 

  今回の「マップ」は、追加の約40基によって、すでに汚染されている大気がどれほど汚染が進むかが、各計画発電所周辺で汚染物質ごとに示されるかがシュミレーションによって示される。大気汚染データは国立環境研究所の県別データ(2014年)を活用。表示される汚染物質は、二酸化窒素(NO2)、二酸化硫黄(SO2)、PM2.5の排出シミュレーション結果を確認す健康影響の増大が明示される。

 

首都圏に集中する計画中の石炭火力発電
    首都圏に集中する計画中の石炭火力発電

 

 例えば、東京湾岸では千葉の袖ヶ浦火力発電所と、蘇我火力発電所が計画されているが、袖ケ浦火力が完成すると、PM2.5等の影響で年間早死者が175人増え、蘇我火力でも102人増える。またゼンソク屋気管支炎にかかる子供の数も一日平均、それぞれ115人、71人となっている。

 

 首都圏に次いで、健康影響の大きいのは、兵庫県の神戸製鉄所火力(早死109人、小児ゼンソク81人)、高砂発電(同108人、同77人)。データのそろっている37基の合計は早死が年間1595人、小児喘息等が一日平均1152人、となっている。早死の原因物質ではPM2.5が多い。

 

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  石炭火力は、一度建設して稼働し始めると、長期にわたってCO2および汚染物質を排出し続け、地球温暖化を悪化させるとともに環境・住民への悪影響を及ぼす。両団体は、建設が計画されている地域の住民らに、このマップをみて、地域の環境と住民の健康がどれくらい影響を受けるのかを、実感をもってみてほしい、としている。

 

 

http://www.kikonet.org/info/press-release/2018-03-19/coal_airpollution_simulation_map