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ノルウェーの石油メジャー、スタトイルが社名変更。社名から「oil」を削除。新エネルギー時代に向けて、「Equinor」に変更。5月の株主総会で正式決定(RIEF)

2018-03-26 13:59:14

statoil2キャプチャ

 

 石油メジャーの一つで北欧最大の企業であるノルウェーのスタトイル(Statoil)が会社名を変更する。新規の名称は、企業名から化石燃料の象徴である「oil」を削除し、「Equinor(エクイノール)」となる。5月の株主総会での承認を受けて、低炭素移行経済にふさわしい新たなエネルギー企業として船出する。

 

 新規名称のEquinorは、平等(equal)を意味する「equi」と、ノルウェーに起源があることを意味する「nor」の合成語。

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 企業名変更を決めたスタトイルのCEO兼社長のJon Erik Reinhardsen氏は「世界は変化している。スタトイルも変わらねばならない。近代エネルギーシステムにおいて、これまでに経験したことのない変化が進行中。われわれはこの変化・発展の先頭に立つことを目指したい」と名称変更の理由を述べている。

 

 そのうえで、 「新しい社名のEquinorは、この変化の流れをとらえ、常に安全をサポートし、われわれが昨年明確に示したように、高い企業価値を生み出すとともに、低炭素戦略を推進していく」と位置づけている。名称変更の正式決定は5月15日の株主総会で決議される。大株主のノルウェー政府は、会社の提案を支持しているので予定通り決議されるとみられる。

 

StatoilのCEO兼社長の Eldar Sætre氏
StatoilのCEO兼社長の Eldar Sætre氏

 

 スタトイルは、ノルウェーの海域で産出する石油資源の約6割を保有する。それ以外にも、アフリカやブラジル、カナダ、イラン、ロシア、米国、ベネズエラなどで石油。ガス開発を行っている。同時に、北海からアゼルバイジャンにかけて多数のパイプラインを運営、さらにスタトイル、ハイドロ、1-2-3の3つのブランドで北欧から東欧にかけてリテール戦略も展開している。総合エネルギー企業であるわけだ。

 

 オスロ証券取引所に上場しているが、保有株の67%はノルウェー政府が直接保有している。また同政府が運用委託しているノルウェー政府年金基金も同社株への投資を行っている。大株主のノルウェー政府はパリ協定を受けて、2030年には国全体でカーボン・ニュートラルを実現する政策目標を立てており、この政府方針を受けて、ノルウェー全体の石油・ガス開発に伴うCO2排出量を、2020年から30年にかけて合計250万㌧削減、そのうち大半の200万㌧はスタトイルが対応することになっている。

 

  スタトイルは50年以上の歴史をもち、石油開発・売却で豊富な資金を稼ぎ、ノルウェー経済を支える源泉となってきた。今回の名称変更は、グローバルにエネルギーの転換が進む今後の50年に向けて、広域エネルギー企業として新たに変身するための企業戦略を体言したものといえる。「新会社の名前は、われわれの伝統を維持しつつ、新たな将来に向けての発展を意味する」(Sætre氏)。

 

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 もっとも、社名から「oil」を削除したからといって、石油事業を廃止するわけではない。大陸棚での資源開発は引き続き、会社にとっての重要な柱と位置づけている。石油開発一辺倒ではなく、石油、ガス、再生可能エネルギー開発等のバランスを考え、それらをequalに発展させるということのようだ。石油・ガス開発では、CO2排出量の多いタールサンドなどの開発からは撤退、掘削についてもエネルギー効率化を図った手法を導入、再エネ投資は新規投資全体の15~20%に引き上げるなどの経営戦略を打ち出している。

https://www.statoil.com/en/what-we-do.html