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米環境保護庁(EPA)のプルイット長官、オバマ政権時代の2022~25年の乗用車の燃費規制を見直しへ。 カリフォルニア州の上乗せ規制に懸念も表明(RIEF)

2018-04-03 12:48:52

EPA3キャプチャ

 

  米環境保護庁(EPA)のスコット・プルイット長官は2日、オバマ前政権時代に制定した2022~25年の乗用車と小型トラックの燃費規制が厳しすぎるとして、改定する方針を宣言した。改定に際して現行の企業平均燃費(CAFE)基準を見直す。さらに、カリフォルニア州が連邦法よりも厳しい燃費規制を導入していることへの懸念も示した。トランプ政権による温暖化対策後退策の一つだ。

 

 見直しの対象となるのは、オバマ政権が2012年に温室効果ガス削減のための中期評価(Midterm Evaluation :MTE)として設定した乗用車等の燃費規制。この中で、各自動車メーカーが実際に販売した車全体の平均燃費に規制をかける企業平均燃費(CAFE)を基準に、自動車からの大気汚染物質排出量削減のため、乗用車とピックアップトラックの燃費を1ガロン(約3.8㍑)当たり16年の35.5㍄(約57㎞)から25年までに54.5㍄(約88㎞)に引き上げることを求めている。

 

 プルイット長官は「最新のデータに照らすと、現行の基準は適切ではなく、改定されるべきだ。オバマ前政権の決定は間違い(wrong)だった。現行基準は、政治的な判断を優先し、現実に適合しない高い基準を設定した」と批判した。見直しに当たって、 米運輸省道路交通安全局(NHTSA)と共同作業を開始するとした。

 

 また、基準見直しとともに、カリフォルニア州が連邦基準を超えて厳しい排ガス規制を実施していることにも触れ、「国全体の連邦基準を共有することがアメリカにとっての最大の利点だ。(新基準が)カリフォルニア州を含む全州で共有されることを期待する」と述べた。

 

 全米でもっとも自動車台数の多いカリフォルニア州は大気清浄化法(CAA)の例外適用を受けて、連邦規制よりも厳しい燃費規制を適用している。EPAはプルイット発言を受けて、同州への適用除外の妥当性を見直す姿勢。これに対して、温暖化対策を重視するジェリー・ブラウン・カリフォルニア州知事が反発するのは必至。EPAが州規制の見直しを打ち出すと、法的闘争になるとみられている。

 

 今回のプルイット長官の発言は、MTEによる2022~25年基準について、規制対応の判断をEPAが4月1日までに示すと定めた手順に基づく。同規制はオバマ政権が退任直前に、当初のMTEプロセスを前倒し強化する形で規制導入を決めたため、自動車業界などが不満を表明していた。

 

 米国自動車工業会(AAM)は、「今後も、より多くの米国人が新車を手頃な価格で購入できる」と、今回のEPAの決定を歓迎している。一方、環境団体等は、石炭火力発電所規制のクリーンパワー・プログラム(CPP)の廃止宣言に続く、温暖化対策後退の具体策だとして反発している。

 

https://www.epa.gov/newsreleases/epa-administrator-pruitt-ghg-emissions-standards-cars-and-light-trucks-should-be