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気候情報開示の国際非営利団体のCDSB。自らの開示フレームワークをTCFDの勧告に沿って改定。ガバナンス等のコア4項目を開示の必要事項に明記。TCFDの共通化広がる(RIEF)

2018-04-15 00:30:12

CDSBキャプチャ

 

  英非営利団体の気候情報開示基準審議会(CDSB)は、FSB(金融安定理事会)の気候財務情報開示タスクフォース(TCFD)勧告を取り入れた環境情報開示フレームワークの改訂版を公開した。改定のポイントは、TCFD勧告が示したガバナンス、戦略、リスクマネジメント、計測と目標、という4つのコア要素を情報開示の必要事項として取り入れた点だ。

 

  CDSBは2007年のダボスでの世界経済フォーラムで発足した非営利団体。企業の気候変動情報開示の標準化を目指して世界共通のフレームワークによって、有価証券報告書などでの気候変動情報の開示を進めている。気候関連情報の新しい基準を作成するのではなく、財務情報と気候変動情報をリンクするために、現状の基準や活動の改善を求める活動をしている。

 

 CDSBは今回の改訂で、その原則や情報開示の必要事項等の中に、TCFDの勧告との連動を全面的に導入した。特に、TCFDの4原則を情報開示の必要事項として位置付けた。TCFDが気候情報の企業価値への影響を評価するために提唱したシナリオ分析の活用にも言及している。

 

 さらにリスクマネジメントについての追加的ガイダンスの供給と、企業が自らの戦略がパリ協定が目指す「2℃目標」に関連するマテリアルな環境リスクに対して、どれくらい対応できるかを考慮するよう求める勧告も盛り込んだ。

 

 CDSB議長のRichard Samans氏は「過去10年の間は、気候関連と環境の情報開示の環境が大きく変動した。CDSBのフレームワークは今や、TCFDの勧告に適合することになった。より強靭で持続可能な金融市場を創り出すことによって、企業が気候・環境情報をビジネス・インパクトに組み込み易くなりように支援していく」と述べている。

 

 CDSBは2010年に最初のフレームワークを公表、2013年に対象を気候変動やGHG排出量関連以外にも拡大した改訂版を出した。その後、2015年にも改訂版を出しており、今回さらにTCFDとの連動性を強めて再改定した。

 

 CDSBのフレームワークは、グローバル企業が気候関連、自然資本関連の情報開示に活用している。採用企業の時価総額は5.2兆㌦(約558兆円)に達している。またCDSBは新たなフレームワークの公表とともに、5年戦略を打ち出した。企業の情報開示の推進を支援し、資本分配の改善につなげることが狙いだ。

 

https://www.cdsb.net/cdsb-framework/796/looking-back-10-years-cdsb