HOME4.市場・運用 |2017年度の太陽光発電関連事業者の倒産、過去最高の件数、負債総額は前年度倍増で、過去2番目の水準。日本全体の倒産件数の低水準傾向の中で突出する形に。東京商工リサーチ調べ(RIEF) |

2017年度の太陽光発電関連事業者の倒産、過去最高の件数、負債総額は前年度倍増で、過去2番目の水準。日本全体の倒産件数の低水準傾向の中で突出する形に。東京商工リサーチ調べ(RIEF)

2018-04-16 11:45:10

solar4キャプチャ

 東京商工リサーチは、2017年度「太陽光関連事業者」の倒産が件数で過去最多、金額では前年度比2.1倍と急増し、2015年度に次ぐ過去2番目の記録となった、と公表した。17年度の日本全体の倒産件数は27年ぶりの低水準となっただけに、太陽光関連の倒産の伸びが目立つ形となった。

 

 対象となる太陽光発電事業者は、ソーラーシステム装置の製造、卸売、小売を手がける企業、同システム設置工事、コンサルティング、太陽光発電による売買電事業等を展開する企業等を含む。

 

 17年度の太陽光関連事業者の倒産件数は82件で、2000年度の集計開始以来、過去最多だった2016年度の68件を14件(前年度比20.6%増)上回った。負債総額は317億2600万円(同116.7%増)で、前年度比2.1倍増。前年度5件だった負債5億円以上の比較的規模の大きい倒産が17年度は15件発生し、前年度比3.0倍増となったことが大きい。負債総額では15年度(340億3400万円)に次ぐ過去2番目となった。


 月別では、17年4月に11件発生した後は一時、沈静化していたが、12月に10件、18年1月も11件と増加した。その後は再び落ち着き、上半期(4-9月)42件、下半期(10-3月)40件と、年度後半は減少気味に推移した。

 

太陽光関連事業者の倒産 年度推移

 

太陽光関連事業者の倒産 2017年度推移

 倒産の原因別では、「販売不振」が全体の半数を占める41件(構成比50.0%)と最も多かった。発電事業者はFIT(固定価格買取制度)によって買取価格が安定しているが、市場規模が拡大しないと、パネルの製造・設置等の事業者や、システム・コンサルなどの事業者は売上不足に直面する構造だ。

 

 次いで多いのが「事業上の失敗」の11件(同13.4%)、「運転資金の欠乏」と「既往のシワ寄せ(赤字累積)」のそれぞれ8件(同9.7%)。前年度と比較すると、「売掛金回収難」が300.0%増(1→4件)だったほか、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」と「他社倒産の余波」の増加が目立った。 


 前年度との比較では、負債総額5億円以上10億円未満が9件(前年度3件)、10億円以上が6件(同2件)とそれぞれ3倍と急増し、負債の大型化が目立った。17年度全体の負債総額が前年度比で2.1倍と拡大した要因となった。

 

 これまで太陽光関連事業者の倒産は、小規模な太陽光パネルなど発電設備の販売、設置工事業者等が中心だった。ところが、17年度はエルエスエム(大阪府、負債61億5000万円)など、本業外の不振を補てんするため、多額の借入金を投じて事業多角化を目指したものの、事業不振で倒産に追い込まれたケースも出ており、負債総額が一気に大型化した格好だ。



 太陽光発電モジュールの組立・販売を手掛けるZENPOER(福岡県、負債約52億円)は、ピーク時は約74億円の売上高を確保できていたが、大口取引先の不良債権に加え、FIT価格の引き下げなどで受注が落ち込み、17年4月に福岡地裁より破産開始決定を受けた。



 経済産業省は先月末の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で、太陽光を含む再生可能エネルギーを主力電源とする方向性を打ち出している。市場拡大の期待の一方で、政策的な焦点は、諸外国と比べて高コストの発電機器や設置工事の費用の引き下げにある。このため、設置工事の下請構造やパネルなど機器の流通構造の是正が求められるとみられ、価格低下に耐えられる大企業に事業が集約される可能性もある。