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住友化学 石炭火力発電から分離回収したCO2で鶏飼料添加物工場に副原料供給。CO2排出量削減と資源有効活用のサイクル目指す(各紙)

2018-04-17 16:13:17

sumikaキャプチャ

 

 各紙の報道によると、住友化学は子会社が運営する愛媛県新居浜市の石炭火力発電所内にCO2の分離回収プラントを新設し、回収したCO2を鶏飼料添加物製造の工場に副原料として供給、CO2排出量を抑えると同時に、有効活用によるエコシステムの活用を目指す。

 

 (写真は、住友化学の愛媛工場の全景)

 

 日刊工業新聞が報じた。住友化学が建設するCO2分離回収プラントは、子会社の住友共同電力(愛媛県新居浜市)の新居浜石炭火力発電所内に設置する。年間5万㌧弱のCO2回収能力を持ち、投資額は20億―30億円の見込み。同発電所3号機から排出されるCO2を分離回収し、高純度のCO2として、住化の愛媛工場内で建設中の鶏飼料添加物「メチオニン」の製造設備へ配管を通して送る。

 

 メチオニンの生産にはCO2が必要物質だ。これまでは液化石油ガス(LPG)などを改良してCO2を作成していたが、石炭火力由来のCO2を使うことで、CO2削減と副原料コストを引き下げる効果も期待できるという。

 

 メチオニンの新工場は今年夏までに完成し、秋の運転開始を予定しているという。こちらの投資額は約500億円で、国内における単一プラントへの投資としては過去最大級になるという。新興国で人口増加と経済発展による食肉文化が広がり、養鶏の生産性向上に資する鶏飼料添加物の需要は堅調に伸びる見通し。

 

 住化の愛媛工場は、同社の業発祥の地として知られる。1958年にはいち早く石油化学分野に進出。事業再編の一環で、エチレンおよび一部の誘導品プラントは1983年に休止したが、豊富な基幹原料をベースに、カプロラクタム、メタクリル樹脂などのバルク製品から、飼料添加物であるメチオニンなどのファイン製品、光学機能性フィルムなどのエレクトロニクス製品まで、積極的に製品の多角化を進めている。

 

 化学産業は鉄鋼業と並ぶエネルギー多消費産業で、CO2排出量多いことで知られる。化学各社では、業態のこうした特性を生かして、資源効率化を目指す取り組みが広がっている。住化以外でも、昭和電工は大分コンビナート(大分市)の石油化学プラントから回収したCO2を使って液化炭酸ガスを製造する設備を年内に稼働させる予定だ。

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00469987

https://www.sumitomo-chem.co.jp/products/petrochemicals/facilities.html