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西松建設、再エネ電力の蓄電用に、バナジウム採用の新型蓄電池開発。安全性と安定性が抜群。実証試験を経て、内外市場で販売目指す(RIEF)

2018-05-09 21:34:13

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 西松建設が、再生可能エネルギー発電の電力を最大限に活かすため、バナジウムを使った新方式の蓄電システムを開発した。バナジウムレドックスフロー電池(VRFB)で、安全性と安定性が優れていることが特徴。今回、実証試験を開始し、その成果を踏まえて内外の再エネ市場の販売を展開していく方針。

 

 西松建設は、蓄電池開発のベンチャー企業であるLEシステム株式会社(本社:福岡県久留米市)と共同で、新たな蓄電システムの実証試験を開始した。VRFBはバナジウムレドックスフロー電池(Vanadium Redox Flow Battery)の略。

 

 VRFBは、耐熱等の必要がないため電池本体の寿命が長く、約20年の電池設計が可能という。また、他の電池には充放電の回数に限りがあるが、VRFBは充放電が無制限で、電解液は半永久的に使用可能という。このため、20年以降のコストダウンが可能と考えられる。

 

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 また安全性の面では、電解液は不燃性であり、電池の運転は常温で行われるため、発火や爆発などの危険性はない。さらに、蓄電量を電解液の量で、出力を電池セルスタック の大きさで個別設計することが可能なことから、事業所の規模や位置等に応じた自由な設計が可能になるというメリットもある。

 

 こうしたメリットを活かすことで、太陽光や風力などの変動性のある再エネ発電について、、「出力変動緩和」「平滑化」「ピークカット(昼夜電力使用量格差是正)」「非常用電源(緊急災害用)」「スマートグリッド」等の多様なニーズに応じた利用が見込まれる、としている。

 

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 今回の実証実験では、20フィートのコンテナに、蓄電容量3kWhのVRFBを搭載し、同社の技術研究所にある既設の太陽光発電と連系させる。機器には発電負荷をかけながら充放電を繰り返し、約1年間にわたって性能を検証・評価する予定だ。

 

 実証実験で検証する評価項目は、①VRFBの運転制御の確認②負荷変動によるVRFBの過電流耐量の特性確認③太陽光発電の変動する発電量に対する変動調整にかかる運転制御の確認④VRFBの各種効率の確認ーーなど。

 

 西松建設では、システムの改良を重ね、再エネ電力の需給に応じた蓄電システムを確立し、低炭素社会への移行に対応した地域分散型エネルギーシステムを構築し、低炭素社会の実現に貢献したい、としている。

https://www.lesys.jp/redox/merit.php