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太陽光発電のソーラーシェアリング。神奈川県小田原で酒米生産。「太陽光のお酒」販売へ。休耕田の復興とエネルギーの地産地消拡大(各紙)

2018-05-13 09:20:01

solarキャプチャ

 

  各紙の報道によると、太陽光発電をしながら、敷地での農業を継続する「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」で、神奈川県小田原市で、休耕田を復興させ、お米を育てる取り組みが始まった。お米は酒米として日本酒醸造に使う。ソーラーシェアリングは全国に広がっているが、お米を育てるのは珍しい。地元では、農業の後継者がなくて休耕となっている田畑の再生に活用したいとの期待が高まっているという。

 

写真は設置した太陽光パネルの下で語る「小田原かなごてファーム」の小山田さん(左)と川久保さん=小田原市で:東京新聞)

 

東京新聞が伝えた。お米を育てる「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」に取り組むのは合同会社「小田原かなごてファーム」(川崎市)。このほど、小田原市桑原の休耕田に太陽光発電パネルを設置した。梅雨に入る6月から耕作・田植えを始める予定。太陽光発電は国の事業計画認定を受け次第、発電を開始し、売電するという。

 

 ソーラーシェアリングで蘇る休耕田は1184㎡。人手不足のため、5年前から耕作放棄されていた。そこで地主に土地を無償で借り、地上2.5mの架台に208枚の太陽光パネルを張り付けた。最大出力は60kW弱。全量売電し、年間150万円の売電収入を見込む。神奈川県から地域主導再生可能エネルギー事業の認定を受け、補助金665万円を得て、総設備は1400万円。

 

 太陽光発電の下でのお米の栽培は、「小田原かなごてファーム」の共同代表で地元農家川久保和美さん(64)らが育てる。お米は酒米で、秋に実ると、同県大井町にある井上酒造が買い取り、日本酒を醸造、販売する。「太陽光のお酒」というわけだ。

 

 「かなごて」社はこれまでも、小田原市曽我岸の休耕地(327㎡)で2年前にサツマイモ栽培のソーラーシェアリングを実施している。栽培されたサツマイモは「芋ようかん」としてすでに商品化されている。同畑の売電収入は年間60万円。

 

 神奈川県によると、同県内の営農型発電は2013年度から始まり、パネル設置に必要な農地転用許可件数は累計22件(3月末現在)。県内の中井町(13件)、小田原市(5件)、秦野市(2件)、藤沢市と横浜市が1件ずつで、全県に普及している。ただ、首都圏周辺では千葉県(304件)や静岡県(143件)のほうが多い。

 

 神奈川県内のソーラーシェアリングでの栽培作物は、これまでサカキや茶などが中心で、お米は今回が初めて。全国でも珍しい。お米をパネルの下で栽培する場合、支柱周辺では耕運機を使えないため、普通の田での稲作より手間はかかる。しかし、川久保さんらは「ボランティアを募り、休耕田を解消したい」と語っている。

 

 同県内の農地面積は2万ha。このうち耕作放棄地は1割以上の2500haに上る。農家の高齢化や後継者不足で今後も増えるとみられるが、休耕地や耕作放棄地を借りて、ソーラーシェアリングを導入することで、荒れ地の解消を目指す、としている。

 

 「かなごて」社共同代表の小山田大和さん(38)は「水田でも営農型発電が十分可能なことを証明したい。売電が副収入を生むことも知ってもらい、後継者不足を解決したい」と話す。自然エネルギー発電に期待する小泉純一郎元首相も視察し「稲作地帯での太陽光発電は画期的で、全国に広がってほしい。日本酒ができれば是非味わう」とエールを送ったという。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201805/CK2018051302000134.html