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太陽光パネルの国内出荷量、2017年度は17%減。3年連続の減少で、出荷規模はピーク時の6割に縮小。政府の再エネ政策の不確かさを反映(RIEF)

2018-05-23 13:20:26

solar2キャプチャ

 

  太陽光発電協会(JPEA)は2017年度の国内での太陽電池モジュールの総出荷量が前年度比17%減の5246MWにとどまった、と公表した。出荷量の前年度割れは3年連続となった。再生可能エネルギーを対象とした固定価格買取り制度(FIT)の再三の制度見直しで、発電電力の買取り価格が引き下げられ、発電需要が減少したことが大きい。

 

 海外向けを含めた総出荷量は5670MWだった。17年度の国内出荷量のうち、発電事業を含む業務用が19%減の4157MW、住宅用は前年度比10%減の1079MW。業務用の減少が大きいのは大規模太陽光発電所(メガソーラー)が落ち込んだため。国内出荷量のうち7割近い3591MWは、海外生産分となっている。

 

 太陽電池モジュールの出荷量は、2014年度に国内出荷量が9219MW(総出荷量9872MW)をつけたあと、低下し続けている。17年度は14年度のピーク比で4割以上下がったことになる。減少傾向は止まらない。18年1-3月期の国内出荷量は、前年同期比26%減の1376MWで、3四半期連続で2ケタ台のマイナス幅となった。特に、全体の8割を占める業務用の減少幅が28%減と大きく下がっている。

 

solarキャプチャ

 

 需要の減退を受けて、各太陽光パネルメーカーの生産・販売も縮小している。京セラは17年度の販売実績が前年度比30%減と大きく下がり、年間1000MW台を割り込んだ。パナソニックも力を入れている住宅向けが低迷したままで、国内生産拠点の縮小に追い込まれている。

 

 太陽光発電市場の需要減少は、FIT価格が2012年の制度導入当初の1kWh当たり40円台から、18年度は18円(税抜き)と、短期間で急減した影響が大きい。経済産業省が買取り価格を毎年のように引き下げてきたのは、電力消費者の負担減少が名目だった。

 

 これに対して、欧米では、市場の広がりを踏まえて買取り価格の調整、補助金の設定等を展開する「市場作り」政策が中心となってきた。その結果、比較的短期間で、再エネ事業企業の技術発展を促し、買取り価格を下げても事業が成り立つ構造にたどり着いている。日本の場合、政府が再エネ促進を政策の中心に据えているのかどうかが不明で、事業者への支援策の遅れも指摘される。

 

http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h294q.pdf