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アジアのグリーンボンド市場、今後5年間で6000億㌦規模に膨張。中国がその半分、日本も年間150億㌦規模の発行の可能性。米銀BAMLが推計(RIEF)

2018-06-02 08:26:53

asiaキャプチャ

 

  今後5年間に、日本、中国を含むアジア市場でのグリーンボンドの発行額が、およそ6000億㌦(約64兆円)に膨らむとの推計が公表された。そのうち中国がほぼ半分を占める見通しだが、日本も毎年150億㌦(約1兆6000億円)規模の発行が見込めるという。米銀のBank of America Merrill Lynch(BAML)が公表した。

 

 BAMLの推計によると、2018年以降、2020年までに、中国が年間550億㌦ペースでの発行を続けるとみられるほか、日本とインドがそれぞれ150億㌦ずつ、オーストラリアと韓国が100億㌦ずつ発行する可能性があるとしている。その後も同様のペースで成長し、2023年には5年間の累積で6000億㌦規模に達するとみている。

 

 同社の分析によると、アジア・太平洋地域はパリ協定に見合う温室効果ガス削減に強いコミットメントをしており、気候変動を緩和するための再生可能エネルギー等の年間資本支出は、2018年の2750億㌦から、2030年までには倍近い5000億㌦に増大するとみている。これらの膨大な投資資金の調達のためにグリーンボンドの発行が期待されるわけだ。

 

 実際、2017年のアジアでの再生可能エネルギー向けの投資は、中国の投資を軸に、世界全体の再エネ投資の半分以上となる59%を占めた。旺盛な投資需要に加えて、機関投資家などの「気候関連投資」需要もまた増大しており、その中心手段としてのグリーンボンドへの投資意欲が高まっていることも背景にある。

 

 BAMLの分析担当者は、こうした推計は「むしろ保守的。現在のアジア・グリーンボンド市場の成長度合いは、本来の潜在力の10%以下に過ぎない」と、将来のグリーンボンド市場の発行規模が6000億㌦をさらに上回る可能性を示唆している。

 

 中国のグリーンボンドには、高効率の石炭火力発電所事業も投資対象に含むなどの課題を抱えている。だが、太陽光、風力の再エネ事業だけでも膨大な投資需要が潜在的にあるほか、習近平国家主席が推進する「一帯一路イニシアティブ」に伴う国際インフラ事業についても、グリーン化を基本とする方針だ。そうした事業の調達資金として、グローバル基準に適合するグリーンボンドの発行増が期待されている。

 

 東南アジアでは、インドネシアがグリーンボンド国債を発行したほか、マレーシアの再エネ企業はイスラム金融版のグリーンボンドであるグリーン・スクークを発行している。フィリピンでも地熱開発事業資金をグリーンボンドで調達したケースがある。またシンガポール証券取引所はグリーンボンド上場を促進するなど、徐々にグリーンボンド市場のインフラ基盤が整備されつつある。http://rief-jp.org/ct4/71712    http://rief-jp.org/ct4/54139

 

 日本市場では、環境省が国際基準とは一線を画する国内向けのガイドラインを制定しているが、これまでのところ、金融機関など多くのグリーンボンド発行体は、同省のガイドラインよりも、国際的なグリーンボンド原則に適合した基準での発行が続いている。

https://www.ipe.com/news/asset-allocation/bank-analysts-estimate-600bn-of-green-bonds-from-asia-by-2023/www.ipe.com/news/asset-allocation/bank-analysts-estimate-600bn-of-green-bonds-from-asia-by-2023/10024890.fullarticle