HOME5. 政策関連 |全米3番目の大都市シカゴ、7月から市の資産運用すべてにESG評価のスクリーニングを原則化。2020年には投資ポートフォリオのカーボンニュートラル化達成を目指す(RIEF) |

全米3番目の大都市シカゴ、7月から市の資産運用すべてにESG評価のスクリーニングを原則化。2020年には投資ポートフォリオのカーボンニュートラル化達成を目指す(RIEF)

2018-06-07 22:26:24

Chicagoキャプチャ

 

 米国3番目に人口の多い都市のシカゴが、市の運用資産すべてに、ESG評価を適用、7月から実施する。運用が順調に進めば、市の年金基金の資産運用にも広げる予定という。ESG投資を広め、2020年までに資産ポートフォリオの「カーボン・ニュートラル」を達成する予定だ。米国の自治体で、ESG投資を全面的に取り入れるのは、同市が初めてという。

 

 (写真は、シカゴの若者たちと一緒の出納役Summers氏、後ろの左側)

 

 シカゴの運用資産は約80億㌦。市の財務を担当する出納役のKurt Summers氏と助役のJohn Arenaは、今年2月にESG Investing Initiativeの導入を宣言していた。今回、具体的な実施体制が固まった。ESG投資は80億㌦すべてを対象にするほか、250億㌦規模の市年金基金も対象となる。

 

 シカゴのイニシアティブの基本は、「100% Integration」。資産運用のすべてにESGスクリーニングを条件とする。対象となるクライテリアは、環境では、カーボン・フットプリント、エネルギー消費、水・廃棄物、自然保護対応、分野別調整の5項目。社会分野では 、労働権、雇用者の多様性、CSR、人権・倫理の4項目。

 

 もう一つのガバナンスでは、経営のリーダーシップ構造、役員報酬、人材マネジメント、透明性・情報開示、株主権利の5項目。ただ、投資先企業の状況によって、これら以外のESG項目も評価の対象に加える。

 

Chicago2キャプチャ

 

 また総合的アプローチとして、保有資産の企業株について、投資グレードとしてMinimum(最低限)あるいはそれ以上のESGポートフォリオ格付を維持することを基本とする。「Minimum ESG格付」を基準とするポートフォリオ運用も全米の自治体では初めて。

 

    ESG運用の全面適用で、ポートフォリオのクリーン化を次第に図り、2020年までにカーボンニュートラルを達成する。そのためには、既存の石油・ガス・石炭等の既存の投資を減らす一方で、カーボンをオフセットするため、社会的責任投資(SRI)への投資などを増やす。そのため、SRI機関の団体であるUSSIFにも参加する。

 

 さらに責任投資の姿勢を貫徹するため、国連支援の責任投資原則(PRI)への署名も7月に行う予定。PRIへ署名する自治体の中ではシカゴは過去最大の署名自治体になるという。

 

 出納役のSummers氏は「7月初めからESGスクリーニングによって『100% Integration』を実施する予定だ。 市の財政の資産運用で手応えが得られれば、市の年金基金にも広げる方針だ。Summers氏は米資産運用会社Grosvenor Capital Managementのシニア・バイスプレジデントから市長のRahm Emanuel氏にスカウトされる形で、2014年に出納役に就任した。Emanuel市長はオバマ政権の首席スタッフを務めた民主党の辣腕者として知られている。

 

 Summers氏は今後、同じようにESG要因を重視した資産運用を行っているサンフランシスコやイリノイ州などと協力して、ESG評価をより確実にする取り組みを深めるとしている。

 

http://www.chicagocitytreasurer.com/wp-content/uploads/2018/03/Chicagos-ESG-Investing-Initiative.pdf