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花角新潟県知事、東電柏崎刈羽原発の再稼働容認「あり得る」と発言。東電の「福島から新潟へ」の経営戦略が実現か(各紙)

2018-06-17 01:03:09

選挙戦を制し知事に就任した花角英世氏

 

 各紙の報道によると、6月10日投開票の新潟県知事選挙で当選した自民・公明支持の花角英世氏は、同県の東京電力柏崎刈羽原発の再稼働について「当然ありうる」との考えを示した。同氏は選挙期間中、当選確定後も原発再稼働には否定的な発言を示してきたが、東電の福島第二原発の廃炉表明と軌を一にする形で、柏崎刈羽原発の再稼働に向かうことになった。

 

 朝日新聞等の報道によると、花角氏は15日、東京で行われた新潟県選出の国会議員への説明会に出席。その中で、無所属の会黒岩宇洋衆院議員(新潟3区)の「条件付きで再稼働を認める可能性はあるのか」との質問に対し、花角知事は「当然ありうる。ゼロか1かの予断を持っていない」と答えたと報道された。

 

 花角氏は当選後の12日の就任会見では、再稼働について「私自身への信任を県民に問いかけるのがはっきりさせる方法」としたうえで、在任中は再稼働を認めないのかとの問いに対して、「結果的に私が在任している間は、原発は動かないということ」と明言していた。

 

 花角氏の「再稼働示唆」の発言は、東電が福島第二原発の廃炉を14日に、正式に表明したことを受けての発言とみられる。東電の小早川智明社長が14日、内堀雅雄知事に対して、福島第二原発の廃炉を伝え、知事の了承を得たことで、東電は、福島を拠点としてきたこれまでの原発事業を、「晴れて」新潟に転じることができることになる。

東電柏崎刈羽原発
 全機停止中の東電柏崎刈羽原発

 

  柏崎刈羽原発と福島第二原発を比べると、多くの点で、柏崎刈羽が東電にとって有利だ。福島第二は1号機が1982年稼動、最も新しい4号機の稼働も87年で、いずれも運転開始から30年を超えている。原則40年の稼働期限に近く、仮に20年延長が認められても、柏崎刈羽は1号機85年稼働、7号機97年稼働で、ほぼ10年長く稼働できる。

 

 出力も福島第二の4機合計440万kWに対して、柏崎刈羽は7機合計821.2万kWと2倍近くもある。何よりも、福島県内では県も住民も、第一原発の悲惨な事故の終息が未だに見込めないことから、第二原発の再稼働に強い拒否感を示しており、東電が従来型の地元対策を重ねても理解を得られる可能性は低い環境が続いていた。

 

 一方、柏崎刈羽も過去に火災事故等を起こしていいる。今回の選挙でも、地元紙・新潟日報の世論調査では県民の65%が再稼働には反対の意思表示をしていた。しかし、福島県に比べると、原発再稼働のプラス面(雇用や県経済の浮揚等)を強調し易い。

 

 実際、今回の選挙では、「東電が社員や関係企業を通じて強力に組織票を固めた」とされる。逆に言うと、新潟県知事を原発再稼働派に据え替えることで、福島第二の廃炉をようやく明言できる環境になったともいえる。福島第二廃炉を第一原発事故後の7年間も決めず、ここに来て決断したのは、まさに「新潟・福島」のカードが連動していることを物語る。

 

 つまり、東電という企業の経営上の都合に、両県の原発稼働の成否、国の原子力行政の方向性も、ともにいまだ左右されているのである。

 

 花角知事は、13日には官邸で安倍首相、菅義偉官房長官らと会っている。また、地元選出国会議員へ説明した15日には、別途、経産省を訪ね、世耕弘成経産相とも会談している。この会談の内容について、花角知事は再稼働問題での具体的な議論はしなかったとしながら、会談後の記者からの質問には「まったく動かさないから、100%動かすまですべてあり得る」と語ったとされる。

 

https://mainichi.jp/articles/20180615/k00/00m/020/120000c

http://lite-ra.com/2018/06/post-4072.html