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英政府、グリーンファイナンス促進の専門機関「グリーンファイナンス機関(GFI)」設立を公式宣言。ロンドンを気候変動対策の国際金融センター化を急ぐ(RIEF)

2018-06-23 01:15:44

Hammondキャプチャ

 

 英国政府はグリーンファイナンスの国際センターの座を構築するため、ロンドンに「グリーンファイナンス機関(Green Finance Institute: GFI)」を設立することを決めた。気候変動対策のファイナンスやグリーンボンド市場の拡大などを受けて、グリーンファイナンスの中心市場争いが浮上しているが、英国がいち早く体制を固める形となる。

 

 (写真は、恒例のシティ市庁舎での演説に臨むハモンド英蔵相)

 

 GFIの設立は、3月末に英政府の「グリーンファイナンス・タスクフォース(GFT)」がまとめた報告書に中核課題として盛り込まれている。来春に予定される英国のEUからの離脱(Brexit)を視野に入れて、国際金融市場のロンドン・シティの機能をより強化することを目指すものだ。http://rief-jp.org/ct4/78158

 

 GFTの提言を受けて、フィリップ・ハモンド蔵相は21日、恒例のシティの市庁舎(マンションハウス)で講演し、GFIの設立を公式に宣言した。「グリーンファイナンスは、金融センターとしてのロンドンにとって重要。政府とシティ・オブ・ロンドンが共同出資してGFIを立ち上げる」と述べた。

 

 GFIの設立は、GFTが勧告した10分野のうちの基本提言に含まれる。「英国のグリーンファイナンス活動を新たな統合ブランドで再始動させる」ためで、グリーンファイナンス市場づくりの中核機関になる。蔵相が認めたように、政府とシティ・オブ・ロンドンが共同出資で運営、GFIの下部に「グリーン・フィンテック・ハブ」や気候リスクマネジメントのためのデータ分析を専門にする「気候分析センター」などを設ける。

 

GFIキャプチャ

 

 グリーンファイナンスのキャンペーンにとどまらず、データ分析に基づく気候科学(Climate Science)や、新たな金融的技術開発と連携させることで、ロンドン市場の強みを発揮することを目指す。加えて、ロンドン市場はこれまで約80本のグリーンボンドの発行体が240億㌦以上の資金調達の場になっており、グリーン資本調達市場としての強みをさらに強化することを目指す。

 

 ハモンド蔵相は、ロンドンのグリーンファイナンス分野での実績を強調しながら、「世界が合意した気候変動抑制のグローバル目標を達成するためには、2030年までに90兆㌦の資金をグリーンな分野にシフトさせねばならない」と指摘、GFIを軸に、ロンドンがそうしたグリーン資本市場の国際センターになるとの決意を改めて示した。

 

 蔵相はGFIの構成や活動の詳細については明らかにしなかった。だが、GFTの提言に基づくと、政府のシードマネー約200万ポンドを元に、民間の出資とシティ・オブ・ロンドンのファンディングで構成する見通し。GFIに期待されるのは、英国のグリーン・クライメート両方のファイナンスを促進するとともに、英政府によるグリーンボンド国債の発行支援も期待される。

 

 すでに、英国は中国との間で「英中グリーンファイナンス・タスクフォース」を設立、中国市場でのグリーンファイナンスを促進する連携活動を展開しているが、GFIはそうした二国間ベースのグリーンファイナンス連携の軸にもなる見通し。中国のほか、ブラジルとも連携関係を結んでおり、今後、インド、ナイジェリア、メキシコなどとの「グリーン関係」も強める予定。

 

 GFTの報告を議長として、とりまとめた前ロンドン市長のSir Roger Gifford 氏は「GFI設立はタスクフォース報告の基本となる提案の一つ。GFIは、すべての金融機関に向けて、気候科学と金融リスクの関係についての、よりよい理解を深めることを目的とするものだ」と指摘、提言が政策として取り上げられたことを歓迎している。

https://www.gov.uk/government/speeches/mansion-house-2018-speech-by-the-chancellor-of-the-exchequer