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日立製作所グループの日立化成、産業用の非常電源となる鉛蓄電池約6万台の検査データを不正表記。原発向けも含まれる。経団連企業グループで2年連続の不正発覚(各紙)

2018-07-01 02:32:54

hitachikaseiキャプチャ

 

  経団連の中西宏明会長が会長を務める日立製作所グループの日立化成が、製造した産業用鉛蓄電池製品約6万台の検査成績書の表記で実測値と異なる数字を不適切な表記していたことがわかった。製品は主に工場やビルの非常用電源で納入先の500社の中には国内の複数の原子力発電所も含まれているという。

 

写真は、データ不正が発覚した日立化成の産業用鉛蓄電池)

 

 丸山寿社長が29日に東京都内で記者会見し「お客さまや関係者に多大な迷惑をお掛けしていることをおわび申し上げる」と謝罪した。安全性に問題は確認されていないと説明している。

 

 蓄電池を製造したのは同社の名張事業所(三重県名張市)。製品完成後の検査について、顧客企業と取り決めた試験方法と異なる社内の方法で実施したにもかかわらず、データを本来の方法に合わせる形で検査成績書に書き込んでいたという。

 

 丸山社長は「(社内の試験方法で)能力があるからいいんじゃないかという安易な判断をする現場の空気があった」と述べた。今後、外部専門家らによる特別調査委員会を設置して原因を究明する。

 

 昨年末には不正データを表記していることが当時の事業所長に不正が報告されていたが、直ちには公表せず、4月に着任した現事業所長が経営陣に報告して公表することになった。日立化成は一九年三月期の連結業績に与える影響は現時点で不明としている。

 

 同社では、事実確認の対策本部(本部長:代表執行役・野村好弘執行役副社長)を設置し、事実関係の調査を行い、「このたびこうした疑義が概ね事実であると確認できた」ことから公表した、と説明している。

 

 同社の調査で不正を確認できた期間は2011年4月~今年6月。それ以前については、引き続き調査を継続するとしており、不正案件がさらに拡大する可能性がある。

 

 日本のメーカー等では、神戸製鋼や三菱マテリアル、日産自動車、SUBARUなど多くの企業でデータの不正使用が明るみに出たことから、経団連は昨年12月に会員企業に自主調査を要請している。しかし同社は、その段階では明確な対応を取らず、今回の発表まで公表の時間がかかった。

 

 経団連企業グループでの検査データ不正については、昨年にも前経団連会長の榊原定征氏の出身企業である東レグループでデータ改ざんが見つかっている。経営トップの意向が現場には届かず、現場は自前の対応を長年取り続けるという「日本的慣行」が根付いていることを改めて示す形となった。

 

 日立化成は、日立製作所の化学部門が独立して、1962年に「日立化成工業」として設立された。2013年に現在の日立化成に社名を変更。半導体の材料や自動車部品なども手掛ける。不正が見つかった名張事業所(三重県名張市)を保有していた新神戸電機を12年に完全子会社化し、16年に吸収合併した。2018年3月期決算の連結売上高は6692億円。

http://www.hitachi-chem.co.jp/japanese/information/2018/n_180629ld8.html