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2017年のグローバルなエネルギー投資額1兆8000億㌦。3年連続の低下。ただし、化石燃料離れの加速と、再エネ投資のコスト低減の両効果が影響。再エネ投資量は増加(RIEF)

2018-07-18 12:21:43

IEA1キャプチャ

 

  国際エネルギー機関(IEA)によると、2017年のグローバルなエネルギー分野への投資額は1兆8000億㌦(約200兆円)で、前年より2%下がった。エネルギー投資が前年割れとなるのは3年連続。石炭火力などの化石燃料関連投資や原子力発電投資等が低下する一方で、太陽光発電などの再エネ電力事業のコスト低下も投資額引き下げにつながっている。

 

  エネルギー供給投資全体に占める化石燃料関連の投資比率は、2014年には全体の投資額の3分の2を占めていた。2017年は前年より少し上昇したが、それでも59%にとどまった。IEAは2040年には40%にまで低下するとみている。地域別では、先進国や中国では55%レベルで、その他の新興国では10ポイント多い65%となっている。

 

 これに対して太陽光発電などの再生可能エネルギーを含むクリーンエネルギー供給投資は発電分野において、もっとも成長が早く、2017年のシェアは70%を超えた(再エネと原子力合計:IEAは原発をCO2を出さないクリーンエネルギーに分類している)。10年前の50%以下だったレベルから明らかに伸びている。

 

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 クリーンエネルギーが伸びる理由は、太陽光、風力等のコスト削減だけでなく、電力網の整備、蓄電設備の普及等が大きい。太陽光発電関連投資は年間平均で15%の価格の低下が進み、投資額全体の8%を占めた。モデュール価格の低下、低価格地域での事業展開等が広がった。

 

 さらに、日照時間や風況などの自然成約のある再エネ発電を安定化させる電力網への投資の充実もクリーンエネルギー投資の拡大につながっている。

 

 したがってクリーンエネルギー投資自体は、過去最高レベルに達した。技術の進歩と政府調達などの政策効果も効いた。中国以外の新興国においても、太陽光発電事業の規模は過去5年間で、3.5倍に拡大し、陸上風力発電も5割増となっているという。

 

IEA3キャプチャ

 

   発電部門全体の投資額は前年比6%減の7500億㌦だった。新規発電事業が10%減と低迷したほか、低減分の半分は中国、インド等での石炭火力発電の減少による。加えて既存の石炭火力発電所も非効率性などの理由で操業停止になるものが増えた。一方、効率性の高いガス化火力発電所は米国や中東を中心に、前年よりほぼ40%も増えた。

 

 天然ガス火力発電所への投資は、17年だけの新規着手でみると23%の低下となっている。石炭火力は2010年レベルの3分の1にまで低下している。

 

 地域別では、中国がグローバル投資全体の5分の1を占めてトップ。低炭素電力供給投資や電力網投資、それにエネルギー効率化投資が中心で、新規の石炭火力発電所への投資額は年間55%も減少した。第二位は米国。シェールガス・油への投資が戻ったことが大きい・欧州の投資シェアはグローバル全体の約15%で、エネルギー効率化投資が伸び、再エネ投資も順調に伸びた。インドは再エネ投資が化石燃料投資を初めて上回った。

 

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