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韓国水力原子力会社(KHNP)初のグリーンボンド発行。同国企業発行分としては過去最大。再エネ、省エネ等に限定。米投資家を中心に3.6倍の応募超過に(RIEF)

2018-07-29 00:36:37

KHNF

 

 韓国電力公社の傘下にある韓国最大のエネルギー企業の韓国水力原子力会社(KHNP)は、初のグリーンボンドを発行した。発行額は6億㌦(約666億円)で韓国でのグリーンボンド発行では最大規模となった。米国投資家を中心に応募が集中、3.6倍の応募超過となり、発行体に有利な発行条件となった。

 

 発行期間は5年、クーポンレートは3.75%。シンガポール証券取引所に上場する予定。BNP Paribas、 Citigroup、 HSBC、 JP Morgan、UBSに、 Korea Development Bank(韓国開発銀行)の6機関が主幹事を引き受けた。このうち、HSBCはボンドのグリーン・ストラクチャー・エージェンシーも務めた。

 

 ボンドには、125の機関投資家から総額22億㌦を超す投資注文があり、5年物の米財務省証券+112.5bpsとなった。投資家の地域別では、米国の年金等が29%と最大の購入先となり、欧州・中東・アフリカの投資家が残りの20%、その他となった。投資家の属性別では63%は資産運用機関に、12%が保険会社、12%が銀行、7%が中央銀行にそれぞれ購入された。

 

 KHNPは、国内4か所で20基の原子力発電を抱えるほか、水力発電事業も主力としている。ただ、今回のグリーンボンドで調達した資金については、再生可能エネルギー事業のほか、エネルギー効率化、低炭素輸送、グリーンビルディングの4分野へのファイナンスに限定するとしている。

 

 ボンドのグリーン性の評価には、英仏のVigeoEirisがセカンド・オピニオンを付与した。ボンドにはMoody’sがAa2、S&PがAAの信用格付を付与している。KHNPは韓国の原発発電事業者であり、今回の調達資金は原発やダムには使わないというが、発行体としての評価を考慮する向きからは、「グリーン性」に異論が出る可能性もある。

 

 たとえば、東京電力や関西電力等の原発を抱える日本の電力会社が、グリーンボンドを発行する場合。調達資金の使途を再エネ中心に限定するとして、電力会社の資金繰りはグリーンボンドの発行分、余裕が出ることになる。なので、グリーンボンドの発行は、結果的に原発や大規模ダムの資金調達にも影響が及ぶ、との見方ができるためだ。

 

 KHNPの初グリーンボンドは、市場ベースの国際基準であるグリーンボンド原則(GBP)と、東南アジア(ASEAN)がGBPを元に開発した Asean Green Bond Standardsの両方に準拠していることを認証した。

http://www.khnp.co.kr/eng/main.do