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原発問題に反応の鈍い日本のエコファンド、SRIファンドの運用機関(FGW)

2011-03-29 18:28:33

中央三井アセットマネジメントが東電をSRIファンドから監視銘柄に移したことを、先に報じたが、他のエコファンドや、SRIファンドはほとんど動きがない。原発事故の放射性物質漏れは環境問題ではなく、東電のリスクマネジメントのお粗末さ、事件後の処理能力の低さは、ガバナンスの欠如だとは、認識しないのだろうか。

 すべてのSRIファンドやエコファンドが、東電を投資対象にしているわけではない。各ファンドの運用報告書や目論見書によると、損保ジャパンのブナの森、朝日アセットライフの「あすのはね」などは、そもそも東電を対象に組み入れていない。日興エコファンドは昨年夏に東電株を一括売却し、現在は保有していないとみられる。

 これに対して、大和証券系の大和投資信託では「ダイワ・エコ・ファンド」、「大和・エネルギー・テクノロジーファンド」で東電に投資している。住友信託系の「SRI・ジャパン・オープン(グッドカンパニー)」、「住信日本株SRIファンド」「SRIジャパン・オープン(SMA専用)」、三菱信託系「三菱UFJ・SRIファンド(ファミリーフレンドリー)」なども、東電株を「優良銘柄」として投資銘柄の上位に位置付けている。野村証券系の野村アセットマネジメントが運用していた「モーニングスターSRIインデックス・オープン」も東電株への投資比率が高かったが、同ファンドは昨年夏に繰り上げ償還している。

 SRIファンドは社会的責任投資ファンドであり、運用する各機関は、投資対象企業が社会的責任を果たしているかどうかをモニタリングする立場にもある。東電株を保有し続けるならば、その理由、今後の方針を投資家に対して、迅速に説明する必要がある。しかし、そうした動きがほとんど見えないという行動の鈍さが、日本のSRI投資業界に共通しているように見えることは、結局、「SRI」「エコ」と言っても、形だけではないかという個人投資家の不信感増長につながる。