HOME |2017年の電力事業者の新設、3年ぶりに上向き。太陽光関連事業者も3年ぶりでプラス増。同事業の倒産件数・負債額も今年上半期は減少、底打ち感広がる。東京商工リサーチ調べ(RIEF) |

2017年の電力事業者の新設、3年ぶりに上向き。太陽光関連事業者も3年ぶりでプラス増。同事業の倒産件数・負債額も今年上半期は減少、底打ち感広がる。東京商工リサーチ調べ(RIEF)

2018-08-13 16:22:49

teikoku1キャプチャ

 

 東京商工リサーチによると、2017年に新しく設立された電力事業者数は前年比11.2%増の1988社となり、3年ぶりに前年を上回った。全産業の伸び率3.1%増を大きく上回った。新電力事業者で最も多いのは太陽光発電事業者で新電力事業者全体の57.6%と過半を占め、伸び率も8.6%増で3年ぶりにプラスに転じた。

 

 商工リサーチの調べでは、昨年中に設立されたすべての新設法人数は前年比3.1%増の13万1981社。このうち電力事業者の新設数の伸び率は全体平均を3.6倍も上回った。もっとも利用が多い太陽光発電事業者は、固定価格買取制度(FIT)の相次ぐ見直しで採算性が低下したことから、2015年から2年連続で減少を続けていたが、3年ぶりの増加となり、下げ止まり感が出た。

 

 
 一方、風力発電事業者は321社で、同36.0%増、バイオ発電事業者も186社、同52.4%増。いずれも、設置数は太陽光発電事業者よりもまだ一ケタ少ないが、伸び率はそれぞれ大きく伸びた。全体的にFIT買取価格が下がっていることから、太陽光以外の再エネ事業への関心が徐々に高まっていることを映している。

 


電力事業者の新設年次推移 利用エネルギー別

 事業者の資本金別では、「100万円未満」が974社(構成比48.9%)で、約5割を占めた。これを含めた「1千万円未満」(その他除く)が1800社で、全体の約9割(同90.5%)を占めた。相変わらず、中小事業者の参入が主流になっている。

 地域的にみると、新設事業者数がもっとも多かったのは関東地方の1092社(構成比54.9%)だった。関東は増加率も前年比25.6%増ともっとも高かった。電力消費需要の大きい首都圏を抱えていることが魅力となっているようだ。

 次いで事業者数では九州が244社(同12.2%)、中部の175社(同8.8%)、近畿の165社(同8.3%)となっている。

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 法人格別で最多は、中小企業の参入が多いことと、プロジェクトごとの特別目的会社(SPC)形式での参入が多いことから、合同会社が1195社(前年比24.8%増)ともっとも多かった。設立合同会社数としては、過去最多を記録した2014年の1824社には及ばなかったが、全体の60.1%を占め、4年連続で構成比トップだった。

 FIT制度の見直しで、低迷が続いていた太陽光関連事業者の倒産件数も、2018年上半期は前年同期比6.5%減の43件と、8半期ぶりに減少した。負債総額も153億3700万円(同13.0%減)で、下げ止まり傾向が顕著になった。


 FIT価格依存の小規模事業者の行き詰まりが一段落するとともに、パネル価格の低下による収益改善効果や、屋根置きパネルなどをネットワーク化するバーチャル・パワー・プラント(VPP)システム、ブロックチェーン技術の応用など、新たな技術応用によって採算性の向上が見込める期待が広がっている面もあるようだ。

 ただ、再エネ電力全体に共通する課題である送電線の空き容量問題など、再エネ発電普及を促すうえでの課題は依然、十分には解決されていない。

 

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180806_01.html