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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 2017年度のESG運用の活動報告公表。運用額は1.5兆円、全資産の約1%。年間収益率はいずれもTOPIXを下回る(RIEF)

2018-08-14 09:20:50

GPIF2キャプチャ

 

  年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は13日、2017年度のESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みをまとめた「ESG活動報告」を発表した。ESG投資額は1.5兆円で、GPIFの全資産額の約1%にとどまった。ESG投資のため昨年7月に米MSCIなどの3指数を採用。その年間収益率は13~15%台で、いずれもベンチマーク(指標)の東証株価指数(TOPIX)を下回る結果となった。

 

 GPIFは昨年、3つのESG指標を採用したほか、投資原則を改定し、スチュワードシップ活動の対象を株式からすべての資産クラスに拡大したほか、世界銀行グループと債券投資でのESGに関する共同研究を始めるなどの取り組みを進めた。GPIFがESG報告書を出すのは初めて。

 

 今回の活動報告はそうした取り組みの成果を初めて取りまとめたものだ。その結果、昨年7月に採用した国内株対象の3つのESG指標のほか、11月にはグローバルに基づくグローバル環境株式市場を公募、現在、選考中。GPIFは、長期的な利益確保を目的に、市場全体の底上げやリスク低減につながるとみられるESG投資を推進することを目指している。

 GPIF3キャプチャ

 

 国内株を対象とする3つの採用指標の投資収益率では、MSCI日本株女性活躍指数が15.29%で最も高く、FTSE Blossom Japan Indexが14.83%、MSCIジャパンESGセレクト・リーダー指数が13.74%だった。いずれもTOPIXより0.58~2.13%下回った。

 

 またそれぞれの親指数との関係では、MSCI日本株女性活躍指数は親指数を上回ったものの、他の2指数は下回った。もっともパフォーマンスが低かったMSCIジャパンESG指数は、昨年後半に発覚した神戸製鋼や日産、SUBARU、三菱マテリアルなどの企業不祥事銘柄をほとんど「ESG評価の高い銘柄」として組み込んでいたため、株価下落の影響を受けたとみられる。

 

GPIF4キャプチャ

 

 GPIFは、ESG投資を含むESG推進活動が期待通りに金融市場の持続可能性やリスク調整後のリターンの向上につながっているのかを測定し、長期的な効果の検証につなげていくために、今回の報告書を発行した、と説明している。高橋則広理事長は「GPIFのESGへの取組みはまだ始まったばかり。是非、皆様の率直なご意見をいただきたい」と述べている。

 

http://www.gpif.go.jp/topics/2018/pdf/0813_esg_katudohoukoku.pdf