HOME10.電力・エネルギー |東京電力管内、今夏の猛暑でも電力需給は安定的に推移。太陽光発電による供給と省エネ普及が効果。再エネは供給力全体の約1割を占める。管内の「原発ゼロ」でも問題なし(各紙) |

東京電力管内、今夏の猛暑でも電力需給は安定的に推移。太陽光発電による供給と省エネ普及が効果。再エネは供給力全体の約1割を占める。管内の「原発ゼロ」でも問題なし(各紙)

2018-08-20 12:35:31

solar2キャプチャ

 

 各紙の報道によると、首都圏を中心とした東京電力管内での電力需給は、記録的な猛暑が続いたこの夏にも、深刻な逼迫状況に陥る日がまだ起きていないことが分かった。猛暑で冷房を使う機会が増える一方で、管内の太陽光発電の発電量が増え、さらに節電の浸透で電力消費自体の減少も電力需給の安定につながったという。管内で稼働している原発はゼロで、「電力の安定供給には原発が不可欠」とする政府や電力業界の主張はその根拠が薄らいでいる。

 

 東京新聞が報道した。それによると、東電は、電気の使用可能量(供給)に占める実際の使用量(需要)を示す「使用率」について、安定的(93%未満)、やや厳しい(93~95%未満)、厳しい(95%以上)、非常に厳しい(97%レベル)の4段階に区分している。一般的に、暑い日ほど冷房が使われ使用率は上昇。97%を超えると停電の可能性も生じるとされる。

 

 この夏は7月23日に管内の埼玉県熊谷市で最高気温が41.1度と国内最高記録を更新、東京(千代田区)でも史上3位の39.0度を記録したが、同日の電力使用率は92.2%と「安定的」だった。ほかの日も、7月2にちが94%と「やや厳しい」になったが、それ以外は、すべて93%未満の「安定的」な日が続いている。

 

TEPCO1キャプチャ

 

 電力需給が安定的に推移している主な要因としては、「気温が高い」との予報がある日に、東電が火力発電の発電量や他の電力会社からの融通電力を増やしていることが大きい。ただ、午前10時~午後3時ごろに発電量が増える太陽光発電が、夏場の電気使用がピークになる午後2時ごろの需要をカバーしていることも大きいという。

 

 我が国の太陽光発電は、再生可能エネルギーで発電した電気をすべて電力会社が買い取る固定価格買取制度(FIT)が導入された2012年以降、各地で増加しているが、東電管内でも電力供給力の1割超をカバーできる規模に拡大している。

 

Tepco2キャプチャ

 

 需要サイドの省エネ効果も効いている。猛暑の7月23日には、東電管内の電力使用量が午後2~3時に5600万kWと東日本大震災後最大を更新した。それでも2001年7月24日に記録した管内での過去最大量よりも13%少なかった。

 

 東電によると、事前に契約した企業への一時的な節電要請や、他の電力会社に電力を融通してもらう仕組みが整備されたことも、供給安定の要因になっているという。実際に東電では、日没以降も高温が予想された8月の1日と2日の両日、夕方にかけて大口顧客に節電を要請した。今年1月も厳しい寒さで暖房の利用が急増したが、電力会社間の融通によって電力不足は回避されている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201808/CK2018082002000139.html