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フィリピン証券取引委員会、同国グリーンボンドガイドライン公表。ASEAN基準に基づき、資金使途は100%グリーン事業、石炭火力のファイナンス禁止。日本の環境省より厳格で明快(RIEF)

2018-08-23 22:22:07

PSEC2キャプチャ

 

 フィリピン証券取引委員会(SEC)は、グリーンボンドのガイドラインを公表した。同ガイドラインは東南アジア諸国連合(ASEAN)が定める「ASEAN Green Bonds Standards(GBS)」に連動する。ASEAN基準は国際基準のグリーンボンド原則(GBP)がモデルで、資金使途は100%グリーンプロジェクトに限定するなど、日本の環境省のガイドラインよりも厳格で明快な内容になっている。

 

 ASEANGBSは、昨年11月にASEAN Capital Markets Forum (ACMF) が域内10カ国の共通基準として、GBPを元にまとめた。今回、フィリピンのSECはASEANGBSに準拠する形で、国内のガイドライン化した。今後、同国内で発行するグリーンボンドは、このガイドラインに基づく必要がある。SECは5月以来、国内の銀行や投資金融機関等と協議を続けて成案した。

 

 今回のフィリピンのガイドラインは、いわばGBPの「孫基準」といえる。基本はGBPに基づくため、石炭火力発電所など化石燃料関連の事業への資金使途は認めない。また、資金使途、資金管理等の4つの核になる要素を最低限度として必須の条件とする。また、ボンドで調達した資金の使途は100%、グリーンプロジェクトに投じることが定められている。

 

フィリピンSECの本部
フィリピンSECの本部

 

 ガイドラインはグリーンボンドとイスラム金融のグリーンスクークの両方をカバーする。資金使途対象となる「グリーン事業」は、再生可能エネルギー事業、エネルギー効率化事業、汚染防止・抑制事業、自然資源と土地利用の環境的持続可能性確保事業、低炭素輸送事業、気候変動の適応事業、グリーンビルディングなどで、それらの事業への新規ファインスまたはリファイナンス、新規または既存事業、事業の全部または一部等に充当することを条件としている。

 

 日本の環境省のグリーンボンドガイドラインは、GBPの4つの要素をすべて満たさなくても「グリーン」とみなすほか、資金使途は50%以上がグリーンプロジェクトに充当されればいい、石炭火力等への資金投資の禁止などは明示していないなど、日本流の「極めて色の薄いグリーンボンド」を認める形にだ。

 

 フィリピンのガイドラインは、既存の国内グリーンボンドについても、資金使途が国内事業に投じられているかどうかなどをSECが評価して、基準の追加適合を認める規定も盛り込んだ。フィリピンではこれまで、2件の企業発行のグリーンボンドがある。

 

 それらは、同国で資産量最大のバンコ・デ・オロ・ユニバンク(BDO Unibank)によるドル建て1億5000万㌦のグリーンボンドのほか、地熱発電事業を展開するAP Renewablesによるフィリピンペソ建て107億ペソ(約2億2500万㌦)の2件。

 

http://www.sec.gov.ph/wp-content/uploads/2015/10/2018PressRelease_AdoptsTheAseanGreenBondsStandards.pdf

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