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三菱マテリアル、品質データ不正についての調査情報を米司法省に自主申告、米企業へのデータ不正製品輸出を受けて、「詐欺罪」の適用の可能性も(各紙)

2018-08-28 00:36:26

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   各紙の報道によると、三菱マテリアルのグループ各社による品質データ不正問題が日米両捜査当局によって調査されることになった。同社子会社には先に東京地検特捜部が家宅捜索したが、不正対象の製品の一部が米国企業に出荷されていたため、同社は米国法に抵触する可能性があるとして、米司法省に社内調査の内容などを自主的に申告したと報じられた。米国で詐欺罪の適用を受け、多額の罰金と賠償金を課せられる可能性がある。

 

 日本経済新聞が報じた。三菱マテリアルが3月に公表した最終報告書などによると、グループ子会社の三菱電線では航空機などで使う油や水の漏れ防止用「シール材」などの検査データを長年にわたって改竄していた。また他の子会社では社長が不正を把握しながら資料の隠蔽を指示するなどしていた。http://rief-jp.org/ct4/76727

 

 これら長年の不正に関し、東京地検特捜部は7月に、不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で子会社数社を家宅捜索。関係先として三菱マテリアル本社も捜索した。さらに8月に入って、追加の家宅捜索を実施している。長年にわたる組織的な不正行為の解明には強制捜査が必要と判断したとみられる。

 

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 東京地検が本腰を入れて捜査している一方で、米国の司法省の捜査も免れない情勢となっている。不正の対象となった製品の一部が米国企業にも出荷されていたためだ。同社はこのほど、米司法省に不正に関する社内調査の内容などを自主的に申告したという。

 

 報道によると、米国でのこうしたデータ不正事件に対しては、詐欺罪が適用されることが多いという。米司法省は三菱マテリアル側に、自主申告分以外の継続的な報告を求めているとみられ、報告内容などを慎重に検討したうえで処分を決める見込みだ。

 

 今回、三菱マテリアルが自主申告を行ったのは、米国の企業犯罪捜査では、当局の司法省が独自に不正を調べる場合と、企業からの自主申告がきっかけで調べる場合とがある。日本と異なり大半の事件が司法取引で決着するため、自主申告で協力姿勢をみせることで、処分が軽くなる例も多い、とされることから、同社では処分軽減の選択をしたとみられる。

 

 ただ、その場合でも、多額の罰金が避けられないほか、不正な製品を納入した企業から損害賠償請求を申し立てられる可能性はある。同グループ全体で横行していたデータ改ざん、偽装の「悪弊」は、最長で数十年にわたり組織的に続けられていたというから、賠償請求額が膨らむ可能性もある。

 

 三菱マテリアルが3月に公表した特別調査委員会の最終報告書などによると、品質不正が判明したのは三菱電線工業(出荷先223社)、三菱伸銅(同30社)、三菱アルミニウム(同120社)、立花金属工業(同339社)、ダイヤメット(同113社)の子会社5社となっている。

 

 日本メーカーによる品質データの不正・偽造問題では、7月に神戸製鋼所同じく不正競争防止法違反(虚偽表示)の罪で起訴されている。米司法省は神戸製鋼所に対しても、罰則付き召喚状で関係資料の提出を求めていた。

 

 三菱マテリアルでは、今回の報道について、「当社が米国司法省に品質データ不正を自主申告した旨について一部報道 がなされておりますが、これは当社の発表に基づくものではなく、また、報道さ れているような事実もありません」とのコメントを発表している。

http://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/info/2018/2018-0827.pdf

http://www.mmc.co.jp/corporate/ja/