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2枚翼の浮体式風力発電機、日独の共同開発。今秋の北九州でのNEDO委託の実証実験で登場。制作会社のグローカルは並行して年間15基の販売体制目指す(各紙)

2018-08-28 13:07:29

glocal1キャプチャ

 

  各紙の報道によると、洋上風力発電関連事業のグローカル(広島県呉市)は、今秋から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託で、北九州沖合で始まる丸紅、日立造船などのグループとの実証実験に、同社が手がける2枚翼システムが採用されることを受け、今後、同システムの販売を3年間で5基、将来は年間15基程度の受注を目指す方針を固めた。

 

 日刊工業新聞が報じた。一般的な風力発電機では、翼部分のローター(回転部)は3枚翼となっている。しかし、グローカルが手がける風力発電は2枚翼構造。翼が一枚少ない分、発電機などを格納するナセル部分が小型化できるほか、同一出力の場合、3枚翼より35―40%軽量化できるという。さらに台風など強風の影響を3分の1程度に軽減できることもあり、メンテナンス性や製造コスト面でも優れるという。

 

 同社の2枚翼システムは、ドイツのaerodyn社との技術提携によって開発したもので、建設コストの低減化を図れる強みがある。特に、aerodyn社は、浅水域から深水域にまで適用可能なNezzyと名づけた新しい浮体を開発中で、北九州市沖合での浮体式洋上風力発電システムの実証実験で、その成果の確認が期待されている。

 

安定した浮体力
      安定した浮体力

 

 同社によると、次世代の浮体式洋上風力発電は、風車のほか、浮体、係留設備を含めたシステム全体を軽量化することで、発電コストを1kWh当たり10円台の実現を目指せるという。aerodyn社はSDC(Super Compact Drive)を使っており、8000kWの発電量、翼の直径168m、ハブの高さ110m、タービンの重さ(ローター等を含む)355㌧の仕様を実現できるとしている。

 

 NEDOの実証実験に導入するのは、最大出力3000kWのもので、水深50―100mの範囲に係留する着床方式。今後、3年間の実証運転を予定している。グローカル社は、同実証実験と並行して、すでに引き合いのある5カ所での風力発電システムの受注を目指す、としている。引き合いにあるのは洋上着床式3基と陸上式2基。いずれも最大出力3000kWのものを想定している。

 

 同社では2枚翼と浮体式を組み合わせた「2枚翼浮体式」は将来の風力発電のコア技術になると見ており、「普及すれば、固定価格買い取り制度(FIT)に頼らない発電コストも実現できる」(奥原征一郎代表)と見通しているという。

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