HOME8.温暖化・気候変動 |米サンフランシスコでの官民主導「グローバル気候行動サミット(GCAS)」、気候変動対策の"倍加”を宣言。移行経済加速で、2030年までの世界経済利益は26兆㌦増へ(RIEF) |

米サンフランシスコでの官民主導「グローバル気候行動サミット(GCAS)」、気候変動対策の"倍加”を宣言。移行経済加速で、2030年までの世界経済利益は26兆㌦増へ(RIEF)

2018-09-16 21:07:57

GCSAキャプチャ

 

  米サンフランシスコで開いていた「グローバル気候行動サミット(GCAS)」は14日、各国政府に対して2020年よりも前に、気候変動対策をこれまでより倍増させるべく協調して強化行動をとるよう求める声明を出して終了した。気候変動激化の最悪の影響を避けるには、2020年までに温室効果ガス排出量をピークアウトさせ、その後は減少に向かわせる必要があるとしている。

 

 GCASには世界中の国、州、市との自治体、ビジネス、投資家、市民社会等の代表が集結し、パリ協定発効後の低炭素社会への移行活動の強化をめぐって議論を重ねた。主催したカリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事は2045年に同州のカーボン・ニュートラリティ(中立化)達成を宣言したほか、100以上の政治・ビジネスリーダーたちが再生可能エネルギー100%化など、脱カーボン目標を競った。

 

 気候変動を抑制するためには、2030年までにグローバルベースで90兆㌦のグリーンインフラ投資が必要とされる。今回のサミットに出席したリーダーたちは、そうした膨大なグリーン投資の決定は今後2~3年の間に実行されるとみられることから、サミットでは5つの主要経済システムを軸に、低炭素化経済への迅速な移行を提起した。

 

 主要5分野は、①電力システムのクリーン化とデジタル化を推進する「Clean Energy System」②都市化の進展を低炭素化する「Smarter Urban Development」③賢明な水資源の活用「Wise Water Management」④食糧確保・森林保護とバランスした土地利用「Sustainable Land Use」⑤廃プラスチック問題等の資源効率化を目指す循環産業経済「Circular Industrial Economy」ーーである。

 

 サミットでは、低炭素経済社会への移行を加速することで、21世紀のグローバル経済の成長を主導することを目指すとしている。移行経済の加速は、2030年までに世界全体で経済利益は26兆㌦を生み出すほか、同年までに低炭素分野での新たな雇用6500万人以上を創出する。雇用増規模は、現在の英国とエジプトの総労働人口に匹敵する、としている。

 

 さらに温室効果ガス等大気汚染物質の減少に伴い、2030年には早死者を70万人以上削減する。化石燃料向けの補助金の廃止およびカーボン価格政策の導入によって、各国の政府収入は2030年には2兆8000億㌦の増収が見込まれる。これらの収入額は今日のインドのGDPに相当する。

 

 サステナブルな土地利用と強固な森林保護と連動するサステナブル農業の普及により、年間2兆㌦強の経済的利益を生み出せる。自然資本を保全することで、森林の保護、土地や沿岸部分の劣化阻止が図られ、異常気象の増大から海面上昇等による気候影響への適応策が強化される。

 

 GCASでの新たな宣言は、パリ協定の達成を支援し、さらに、「パリ以降」に対応すべき対策につながっていく、としている。

 

 同サミットは、トランプ政権がパリ協定からの離脱を宣言したことに反発したカリフォルニア州のブラウン知事や、ブルームバーグのマイケル・ブルームバーグ氏、アントニオ・グテレス国連事務総長らが中心となって、従来通り、さらには従来以上の温暖化対策の加速を求める形で、世界に呼び掛けて開いた。

https://newclimateeconomy.report/2018/

https://www.globalclimateactionsummit.org/step-up/#