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ドイツで世界初の燃料電池による「水素列車」が営業運転開始。仏アルストム製造。時速140km。一度の水素供給で1000km走行可能。欧州中心に普及の期待(RIEF)

2018-09-25 08:23:15

Alstom2キャプチャ

 

 水素を使った燃料電池で走る世界最初の「水素列車」がドイツで実用化された。今月半ばの17日、ドイツ北部ニーダーザクセン州の約124kmの区間(ブクステフーデ駅―クックスハーフェン駅)で稼動した。列車の最高速度は時速140km。当面は一日、2編成だが、2021年には14編成に増やす見通し。

 

 初の水素列車は、欧州の新幹線であるTGVを製造する仏アルストム社製。列車の屋根には、水素燃料の入ったタンクと、水素エネルギーを動力となる電流に変換する燃料電池が積まれている。床下にはリチウム電池も装備され、余分な電力は自動的に蓄電する。連続走行距離は約1000km。

 

  初運行式典に出席したアルストムCEOのHenri Poupart-Lafarge氏は「アルストムにとっても、世界の鉄道の将来にとっても革命的なことだ。世界で最初の水素列車が営業運転に入った。今後も継続的に生産していく」と胸を張った。

 

「水素列車」の営業運転開始の式典に参加した独仏の関係者
「水素列車」の営業運転開始の式典に参加した独仏の関係者

 

 従来のディーゼル列車に比べて、車体価格は少し高い。だが、運行費用は基本的に水と酸素が燃料なので安い。乗客稼働率が見込める鉄道会社にとっては採算性の改善につながるという。

 

 ディーゼル車とは違って、大気に有害物質を排出せず、騒音も少ない。電力を外部から供給を受ける通常の電化路線とは違って、停電時でも走ることができる。しかも、排出するのは、蒸気と水だけ。さらに、アルストムは、将来は風力発電で発電した電気で水を分解して得た水素を使う「完全自然エネ電力」にする方針という。

 

 ドイツの鉄道は電化されていない区間が全体の約半分を占め、今もディーゼル機関車が中心になっている。こうした路線の電化には巨額の投資と時間がかかる。このため、今回の鉄道区間以外の他の区間の運航会社や自治体なども導入の関心を示しているという。

 

 アルストムによると、鉄道需要の高い他の国(英国、オランダ、デンマーク、ノルウェー、イタリア、カナダなど)からも、引き合いがあるという。フランスでも政府が2022年までに「水素列車」の導入を目指しているという。

 

 水素を使った燃料電池自動車では日本のトヨタ、ホンダがリードしている。この際、自動車産業とJR各社が連携して、「水素列車」を日本でも走らせてはどうか。電力需要の大幅節減となるほか、地方ローカル線の快適性の向上も期待できる。

https://www.alstom.com/press-releases-news/2018/9/world-premiere-alstoms-hydrogen-trains-enter-passenger-service-lower

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