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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、ESG株投資”第二弾”。企業の炭素効率を10段階評価、評価の高い企業株に1.2兆円を重点投資。ESG投資の総資産比率は2%未満(各紙)。

2018-09-23 12:44:32

GPIFキャプチャ

 

  各紙の報道によると、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、炭素効率の優れた企業を10段階評価し、評価の高い企業株に重点投資する新たな運用を始めた。まず1.2兆円を投じた。気候変動リスクの高い企業への投資は抑制することで、投資を通じて企業の温暖化対策を後押しする。

 

  日本経済新聞が報じた。GPIFでは、新たな環境投資のための株価指数を公募し、米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの指数を採用した。同指標では、企業が公表する温暖化ガス排出量や民間推計を使って、各企業の炭素効率を10段階で評価し濃淡をつける仕組み。国内外の約3800社を組み込む。GPIFでは、この指数を使った株式投資を委託先の運用会社に求めていくという。(:正式発表記事をhttp://rief-jp.org/ct4/83080に掲載)

 

 指標に組み込む国内企業は、東証株価指数(TOPIX)を構成する企業のうち1日の売買代金が少ない約400社を除いた約1700社。このうち、炭素効率の評価が10段階で最も高い企業はTOPIXの構成比率の2.2倍を投資し、評価が最低なら9割減らす仕組みだ。また、炭素関連の情報を自ら開示する企業については評価を高くする。

 

GPIF5キャプチャ

 

 ただ、今回の手法には、欧州の年金基金等が採用している環境負荷の大きな企業から投資資金を引き揚げる「Divestment」の手法とは異なる。温暖化ガスの排出量が多い電力や鉄鋼なども含めて評価したうえで、炭素効率の高い企業に投資配分を重点化することで、上場企業全体に改善を促す狙いだ。

 

 GPIFでは新手法の投資収益はTOPIXを使って運用した場合とほぼ変わらないが、企業の炭素効率は2割超改善するとみている。

 

 GPIFは約160兆円を運用しており、公的年金としては世界最大規模。国内外の株式は約80兆円を保有する。2017年7月、ESG3要素を対象とした総合型の2指数と、社会に絞ったテーマ型として女性活躍指数を設定し、合計1兆円規模の資金をESG投資に振り向けてきた。

 

  今回の炭素効率化企業向け株投資を加えて、GPIFのESG投資は3兆円に近づく。ただ、総資産規模に比べると、まだ2%に届かない。さらなるESG投資の積み増しが期待される。

https://www.gpif.go.jp/

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180923&ng=DGKKZO35678000S8A920C1MM8000