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霞が関主導で、官民連携のグリーンファイナンス・ネットワーク(GFNJ)立ち上げへ。発起人に玉木林太郎氏と末吉竹二郎氏。11月に発足の会議開催(RIEF)

2018-10-10 08:45:26

zaimushoキャプチャ

 

 霞が関のイニシアティブで、グリーンファイナンスを日本で普及させることを目指した官民ネットワークが立ち上がる。「グリーンファイナンス・ネットワーク・オブ・ジャパン(GFNJ)」で、OECDの前事務次長の玉木林太郎氏(金融情報センター理事長)と、同じくOECDで同問題を担当した財務省の高田英樹氏が中心になっている。ともに財務省の新旧国際派のリーダー格で、いよいよ財務省がグリーンファイナンスに本気で動き出したとの見方も出ている。

 

 ネットワーク設立の趣旨は、SDGsやパリ協定に基づく気候変動対策目標の達成が念頭にある。これらの目標に到達するには、多額の投資が必要になるが、多くの政府は財政制約に直面しており、その余裕がない。そうした中で、いかにして民間資金を動員するかが鍵とされる。そこで、ESGに着目した金融の潮流の確立を目指して官民の識者の間で政策論議を含めたネットワークを築くことが目的のようだ。

 

 GFNJネットワークには、発起人として玉木氏と、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の特別顧問、末吉竹二郎氏が就任。高田氏(現在、内閣官房IR推進室参事官)が事務局長を務める。

 

 海外のESGメディア(Responsible Investor)によると、参加メンバーは、霞が関から、財務省、金融庁、経済産業省、外務省、環境省の各省庁の課長、課長補佐クラスが名を連ねる。また、金融機関からも、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ証券、シティグループ証券、BNPパリバ証券の各担当者、投資家として、日本生命、東京海上ホールディングス、アクサ生命などが加わる。

 

 さらにシンクタンク・研究分野からは日本総研、大和総研、野村資本市場研究所など。環境金融研究機構も参加する。現OECDの河野正道事務次長や国連GEF(地球環境ファシリティ)CEOの石井菜穂子氏ら、財務省国際派の現役も参加メンバーに名を連ねている。

 

 こうした官民のステークホルダーが出そろったことで、RIは「日本がようやく、グリーンファイナンス市場を発展させるための専門家パネルを立ち上げた。英国やカナダ、香港等に次ぐ動きだ」と注目の眼差しを寄せている。同誌によると、高田氏はグリーンファイナンス課題には個人的にコミットメントしていくという。

 

 これまで政府内では、環境省、経済産業省などが個別にグリーンボンドやグリーンファイナンス関連の研究会を立ち上げるなどの経緯はある。しかし、政府全体としてのグリーンファイナンス、サステナブルファイナンスの位置づけは明瞭ではない状態が続いている。ただ、今回のGFNJネットワークには関係省庁の役人が名を連ねるが、具体的な政策立案を目指すのかどうかは、現時点では明確ではない。

 

 GFNJは、11月3日に立ち上げのシンポジウムを東京で開く予定。