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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、温室効果ガス削減を企業に「建設的対話」で求める直接行動運動の「Climate Action100+」にサポーターとして参加(RIEF)

2018-10-10 15:51:41

GPIF2キャプチャ

 

  年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、パリ協定に基づく気候変動抑制のため、温室効果ガス(GHG)排出量が世界的に多い主要排出企業を特定し、資産運用の立場から削減圧力をかける「Climate Action 100+」に、サポーターとして参加したことを公表した。CA100+の「行動対象」には、今年7月に追加された企業を含め世界161社がリストアップされており、GPIFの参加はサポーターとはいえ、161社への投資家にも影響を及ぼしそうだ。

 

 CA100+キャンペーンは、パリ協定の実現を目指した「2014/15Global Investor Statement on Climate Change(GISCC)」の宣言に基づき、昨年12月に、CalPERS、CalSTRS(カリフォルニア州教職員退職年金基金)などの公的機関ほか、AXA、Allianzなどの民間金融、資産運用等310機関(資産総額32兆㌦)が署名し、グローバルな直接共同行動として展開している。

 

 CA100+は選別した対象企業に対して①気候変動リスク・機会をモニタリングし、経営としての説明責任を果たすガバナンス構造の実施②パリ協定と整合性のあるGHG削減行動をバリューチェーン全体で実施する③金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の報告に沿った情報開示の向上--の3点を共同で要請する行動を展開している。

 

CA100+キャプチャ

 

   GHG排出量の多さや、クリーンエネルギー転換機会の高さなどから、「ターゲット」として選ばれた企業は当初、100社、その中に、日本企業は、新日鉄住金、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、スズキ、パナソニック、東レ、ダイキン、日立製作所、JXホールディングスの10社が選ばれている。今年7月に追加で61社が選ばれたが、追加には日本企業は入っていない。

 

 CA100+に署名企業は、これら対象企業に対して、GHG排出量の情報開示の促進のほか、GHG排出量をバリューチェーン全体で削減する行動を促し、パリ協定に沿った企業戦略の展開を求めることを宣言している。310機関の宣言企業には、日本の金融機関が、富国生命投資顧問、三菱UFJ信託銀行、日興アセットマネジメント、損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント、三井住友信託銀行の5社が加わっている。

 

 GPIFの参加は、署名機関ではなくサポーターとの位置づけだ。だが、CA100+が、グローバルな環境問題の解決に大きな影響力のある企業と、情報 開示や温室効果ガス排出量削減に向けた取組みなどについて「建設的な対話」を行うことを評価し、 GPIFとしても「運用受託機関と投資先企業との間で、ESG も考慮に入れた建設的な対話を促進す ることで、市場全体の持続可能性向上に努めていく」と述べている。今後、CA100+対象の国内10社への働きかけを受託機関に求めることになるとみられる。

https://www.gpif.go.jp/topics/Climate%20Action100%2B_2.pdf