HOME |大和ハウス工業、岐阜県・飛騨市での水力発電事業が全面稼動。約2MW。環境配慮で大半の送電設備を地下埋設。景観にも地球にも優しい再エネ発電。総事業費29億円(RIEF)。 |

大和ハウス工業、岐阜県・飛騨市での水力発電事業が全面稼動。約2MW。環境配慮で大半の送電設備を地下埋設。景観にも地球にも優しい再エネ発電。総事業費29億円(RIEF)。

2018-10-16 15:30:09

Daiwa1キャプチャ

 

 大和ハウス工業は岐阜県飛騨市で進めていた水力発電事業が本格稼動した、と発表した。同社が水力発電事業を手掛けるのは初めて。東芝子会社のシグマパワーホールディングス合同会社(東京)、小水力発電事業の実績がある坂本土木(岐阜県飛騨市)と共同で事業会社を設立、総発電量約2MWの環境に配慮した水力発電所をスタートさせた。将来は自社の再エネ電力として活用する。

 

 (写真は、今月完成した菅沼第二水水力発電所)

 

 大和ハウスと他の2社は、2014年12月に合弁会社DTS飛騨水力発電株式会社(岐阜県飛騨市)を共同出資で立ち上げ、飛騨市宮川町で2基の小水力発電施設の建設を進めてきた。出資比率は、大和ハウスが39.9%、シグマが33%、坂本土木が27.1%となっている。

 

 昨年10月に、まず、菅沼第一発電所(発電量970kW)」が完成、さらに今年10月11日に「同第二水力発電所(同999.5kW)」が完成した。両発電所を合わせると発電量は約2MW(1,969.5kW)で、一般家庭約2,700世帯分の電力量をまかなうことができる。 総事業費は約29億円。

 

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 大和ハウスグループは、創業100周年にあたる2055年を見据えて環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」を策定、 ライフサイクル思考に基づくグループ・グローバル一体での環境経営の推進をコンセプトに、環境への取り組みを進めている。事業活動に伴う電力をすべて再生可能エネルギー発電でまかなう「RE100」にも参加している。

 

 これまでも、2007年に愛媛県佐田岬での風力発電事業をはじめ、風力、太陽光発電等に取り組んできた。しかし、水力発電は今回が初めて。水力発電所は、一級河川神通川水系宮川の菅沼谷支流の標高約1,000mに位置する。冬季は降雪量が多い豪雪地帯のため、年間を通じて豊富な雪どけ水に恵まれているという。

 

フランシス水車の回転で発電する
フランシス水車の回転で発電する

 

 建設現場が、奥飛騨数河流葉(おくひだすごうながれ)県立自然公園の自然豊かな場所にあるため、発電所・鉄管路・沈砂池等の目につく設備は、なるべく林道の近傍に設置し、最小限の樹木伐採や造成を意識したという。各水力発電所間、水力発電所と変電所間の送電設備のほとんどを地下埋設するなどの工夫で、鉄塔や電柱などの人工構造物による自然景観への影響を最小にした。また、送電経路の樹木の伐採や間伐も最小限に抑えるなどの「環境配慮型水力発電」とした。

 

 発電した電力は、昨年から稼動している第一発電所を含めて、固定価格買取制度(FIT)を利用して、大和ハウス自身が新電力事業者(PPS)として全量を買取り、他社に販売する。年間売電収入は約3億8000万円としている。発電所2基によるCO2削減量は年間約2000㌧で、杉林のCO2吸収量に換算すると、約560ha分に相当するという。

https://www.daiwahouse.com/about/release/house/20181010160911.html