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「日本国」のESG評価は、中くらいの「C+」。「人権と基本的自由」「気候変動とエネルギー」等は平均以下。独ESG評価のISS-oekom社が付与(RIEF)

2018-10-28 18:56:26

ESG4キャプチャ

 

 ドイツのESG評価機関のISS-oekomは、日本の国の持続可能性評価結果を公表した。同社はこれまでに60カ国(58カ国と香港、EU)を対象として国別ESG格付を実施している。その結果、日本は60カ国中、ちょうど中間の30番目。12段階の格付でも、中間レベルの「C+」となった。特に、「人権と基本的自由」、「気候変動とエネルギー」等の分野で、平均以下と判断された。

 

 ISS-oekomは東京都のグリーンボンドに対してセカンド・オピニオンを付与している。その第三者評価において、「公的機関の発行体による持続可能性に関するパフォーマンスを評価するため、国別評価手法(ISS-oekom カントリー・レイティング)に基づき評価を行う」とし、国別評価を公表した。

 

 国の持続可能性の評価は「社会面の評価」と「環境面の評価」の2分野に分かれる。前者については「政治体制とガバナンス」「人権と基本的自由 」「社会の状況」の3カテゴリー、後者については「天然資源」「気候変動とエネルギー」「生産と消費」の3カテゴリーを評価する。

 

日本国の持続可能性評価
日本国の持続可能性評価

 

 それぞれの評価には、約100のESGに関する評価指標を設定して判断する。 すべての評価指標は個別のウェイトを付している。これらの個別評価結果をまとめて全体スコア(格付け)を算出する手法。評価指標の選定は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)や、他のグローバルな社会課題を反映して選んでいるという。

 

 日本のESG評価は、社会面の評価では、「人権と基本的自由 」が平均以下だった。理由は「死刑制度の存在」と指摘している。一方の「環境面の評価」では、「生産と消費」は平均以上とされたが、「気候変動とエネルギー」「天然資源」はともに平均以下だった。その理由として「気候保全への取り組み、捕鯨の有無の点に関して逸脱している点がある」と指摘している。

 

 気候変動対策ではパリ協定に基づく国別目標を立てているものの、EU等に比べると意欲的とはいえず、また政策実現のための排出権取引制度や排出規制等の導入はない。さらに再生可能エネルギー政策は十分に機能しておらず、新規の石炭火力発電事業を国が認めているなどの点がマイナス要因になったとみられる。

 

国別格付全体の中の日本(黒字)の位置づけ
国別格付全体の中の日本(黒字)の位置づけ

 

 総合評価は、A+ (excellent) から D- (poor)まで12段階の格付けで表す。今回、日本はそのうち C+。上から7番目でちょうど中間に位置する。全体的にみると、excellent(A+~A-)評価はゼロで、最高はgood(B+~B-)でB+と評価されたノルウェー、スウェーデン、スイスの3か国。日本はこの3か国から3ノッチ低いランクとなる。

 

 ISS-oekomは格付を踏まえ、各国を「ステイタス」と「Primeの閾値」でも評価している。 Primeに分類された国は、ISS-oekomが定める(Primeとしての)最低限の持続可能性評価項目を満たす、も しくはそれを超える評価を得ている、と位置付けている。しかし、日本は残念ながら「Not Prime」となっている。

 

http://www.zaimu.metro.tokyo.jp/bond/tosai_ir/gb/greenbond300822_2.pdf