HOME4.市場・運用 |清水建設、長野県東信地区で、100%地元の木材資源を活用する木質バイオマス発電事業建設へ。間伐材やマツクイムシ被害材などを利用。投資額30億円。2020年5月稼動予定(各紙) |

清水建設、長野県東信地区で、100%地元の木材資源を活用する木質バイオマス発電事業建設へ。間伐材やマツクイムシ被害材などを利用。投資額30億円。2020年5月稼動予定(各紙)

2018-11-07 17:44:01

shimizu1キャプチャ

 

   各紙の報道によると、清水建設は長野県で、100%地元の森林資源を活用する木質バイマス発電事業に着手する。投資額約30億円で、出力2000kWクラスの発電設備を建設、発電した電力は固定価格買取制度(FIT)を利用して全量を中部電力に売電する計画だ。海外のパームヤシ殻(PKC)などの輸入原料に頼らず、間伐材などの未利用材やマツクイムシによる被害材を有効利用し、地域に特化した循環型事業モデルを目指す。

 

 (写真は、清水建設が長野県に建設予定のバイオマス発電所の完成予想図)

 

 日刊工業新聞が報じた。発電所を建設するのは長野県東信地区。東御市の羽毛山工業団地に、発電所を建設する。投資額は約30億円。2020年5月に稼働の予定で、燃料の切削チップは東信地区で発生する間伐材などの未利用材やマツクイムシによる被害材を有効利用する、としている。

 

 清水建設の100%子会社の信州ウッドパワー(長野県東御市)が事業を担当する。土地売買契約を経て11月末にも建設に着手する。県内で森林保全や環境対策に積極的な長野トヨタ自動車(長野市)も出資し、共同で事業展開する予定という。

 

 建設する発電設備は、木材置き場以外に燃料の切削チップ工場と貯蔵所、ボイラ・蒸気タービン方式の発電施設などから構成する。チップを発電ボイラに投入する作業を自動化し、24時間稼働により深夜や休日の作業を無人化する。

 

   発電プラントは、三菱日立パワーシステムズインダストリー製のものを使い、それを軸に、日立プラントメカニクス製のクレーン、富士鋼業製のチッパー等を、清水建設が組み合わせて構築する。年間の発電期間は、保守のために停止する期間を除いて、340―345日の稼働が可能という。年間売上高は約5億円と見込んでいる。

 

 燃料となる木質の切削チップは地元のカラマツ、アカマツ、杉などを使う。それらのうちで製材に使えない低質材を年約3万㌧調達する。間伐材やマツクイムシによる被害材の処理・資源化といった課題を解決し、地域の森林保全育成に役立てる計画だ。チップ材の購入で地元林業者には年1億―1億5000万円を支払う予定で、地元林業の活性化にもなる。発電事業に関連した雇用者も約10人分を新たに創出する。

 

 清水建設は今回の事業を、地方創生を促し、地元の林業関係者とwin―winの関係を築く事業と位置づけており、国連の持続可能な開発目標(SDGs)やESG投資の一環として事業を推進する。今後、ノウハウを蓄積し、似た地形や条件の場所で、同様のバイオマス発電事業の展開を目指す、としている。

https://www.shimz.co.jp/