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在日米国商工会議所(ACCJ)が日本政府に向けて、上場企業のESG情報の開示開示を義務化する「ESG法案(金融商品取引法改正)」の提出を要請。を

2018-11-23 17:44:48

ACCJ1キャプチャ

 

 在日米国商工会議所(ACCJ)は、日本政府に対し、早急に金融商品取引法を改正し、日本の上場企業に対して、事業に影響のあるESG要因および重要なESG課題への取組み姿勢について、少なくとも年1回、株主に報告し、 ESG関連リスク管理を行うことを義務付ける「ESG法案」の制定を要請した。十分な報告を怠った企業は、日本取引所グループ(JPX)が社名を公表するなど、段階的に厳しい措置を課すべきと指摘している。

 

 ACCJは、これまでJPXが「持続可能な証券取引所イニシアティ ブ(SSE)」に参加したり、政府が2018年6月にコーポレートガバナンス・コードを改訂、「投資家と企業 の対話ガイドライン」の発表を行うなどのESG情報開示の推進策を支持する、と説明。政府が国連の持続可能な開発目標(SDGs)を推進していることも評価した。

 

 そのうえで、世界の投資家がESG情報開示に寄せる期待について、まだ十分に理解していない日本企業が多いとし、ESG情報開示の枠組みの強化に向けて、さらなる公的措置が求められる、と指摘、「ESG法案」の提出を求めた。

 

 ACCJキャプチャ

 

 ACCJは、ESGのうちG(ガバナンス)では、近年、日本版コーポレートガバナン ス・コードやスチュワードシップ・コードの導入・改訂を通じ、 大きな進展が見られるとしている。一方で、投資家が賢明な投資判断を下すうえで必要なESG情報が、まだ十分に適切に提供されてはいない、と批判している。

 

 そこで政府が金融商品取引法を改正し、「ESG情報開示の義務化」を法的に担保することを求めている。同情報開示により、「資本市場における好循環」を生み出せるとしている。その好循環は、日本の金融サービスの成長促進と、世界の金融拠点としての東京の地位向上を図るた めに不可欠な措置、と位置づけている。

 

 ACCJが求めるESG情報開示のポイントは、①期待される開示範囲を明確に示す②投資家がESGコンプライアンス状況を同一条件で比較できるよう、ベンチマークを確立する③各社が直面するESGリスク管理に、透明性のある定性的評価を導入する(収益予想の目的で提供される評価と同様)――の3項目。

 

 ACCJは、 すでに機関投資家による投資判断で、ESG情報開示が 財務情報の開示と同様に重要視され始めており、強固なESGコンプライアンス文化を持つ企業が、そうでない企業を業績面で大きく上回る経験的証拠が増加している、と指摘。「ESG法」の制定によって、ESGリスクが定期的に開示されれば、投資家は確実によりよい投資判断を下すことができる、としている。

 

  国内外の投資家は、上場企業が定期的にESGファクターの 開示・説明を行うことを期待していることにも対応できる。特に、人権の尊重、潜在的債務および偶発債務の認識、気候変動に伴う課題、脆弱な コーポレートガバナンスが業績や事業失敗に直接与える影響などのESG関連のリスク情報は、日本企業に投資を行う際に評価される最重要リスクファクターになっている、と強調している。

 

 さらに、 年金機構や政府系ファンド、企業年金管理機関、基金な ど、世界の受託投資機関は、ESGコンプライアンス情報の開示が不十分な日本企業に対して、投資を控える傾向を強めており、 顧客から投資運用を委託される投資マネジャー(フィデューシャリーマネジャー)も、日本企業への投資を継続する前提条件として、良好なESG特性を重視する傾向が強まっているとしている。

 

 そうした指摘を踏まえて、「今こそ日本は強力なESG法案を採択 し、日本の企業と市場が世界の投資家や資本市場から取り残されないようにすべきだ」と求めている。

 

 ACCJがESG情報開示に求める方式は、EUなどが採用している「コンプライ・オア・エクスプレイン(遵守せよ、さもなくば説明せよ)」方式との整合性をとるものとし、「日本が国際化された強固な資本市場の構築を望むのであれ ば、ESG情報開示において“規格外”扱いされることがあってはならない」と結んでいる。

http://www.accj.or.jp/uploads/4/9/3/4/49349571/1810-esg-aic-v2.pdf