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東京商品取引所、電力先物取引市場の開設で「試験上場」方式を検討へ。大手電力会社の慎重姿勢に配慮し、実績作りを重視(各紙)

2018-11-28 14:59:13

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  各紙の報道によると、東京商品取引所は電力先物市場について、期限つきで試験的に取引する「試験上場」方式で開設する検討に入った。認可申請に必要な発起人を集め始めた。ただ、新電力各社などの参加は見込まれているが、現時点では大手電力会社の賛同が得られていないため、本上場より要件が緩やかな試験上場に切り替えるて始動する方針。

 

  日本経済新聞が報じた。それによると、東証取は「電力先物は最優先で取り組む」」(浜田隆道社長)と積極的だ。ただ、新たな先物市場をつくるには、20社以上の発起人が必要。この過半数は実際に電力を使ったり売買したりする実需家でなければならない。今のところ必要な数の発起人が集まる見通しは立っておらず、試験上場についても難航する可能性もある、としている。

 

 経済産業省は4月、有識者による検討会の検討結果として、「早期に電力先物市場を創設することが望ましい」との報告書をまとめている。売買が伸び悩み業績が低迷している東商取にとって、新商品の上場は売買高の底上げにつながる。このため東商取は10月に電力先物を上場する計画を打ち上げた。

 

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 ただ、大手電力は最終赤字が続く東商取の経営体力への懸念などから、発起人としての参加を見合わせている。東商取自体、10月に、東京証券取引所などを傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)と総合取引所に向けた協議入りで合意しており、商品業界には「JPXと統合し、清算機関の信用力を高めてから電力先物を上場すべきだ」との声がある。

 

 発起人が十分に集まらないままだと取引量が延びないことにもなる。こうした状況から、東証取の新市場立ち上げの目標も、当初の2018年内から、18年度以内へと先送りしている。今回の試験上場への切り替えは、試験上場中に取引実績を積み上げて大手電力の懸念を払拭し、改めて本上場を目指す方針という。

 

 電力は日本卸電力取引所でのスポット(随時契約)取引が活発になっている。最近は記録的な猛暑や積雪を背景に電力需要の変化が激しく、値動きも大きい。同取引所で電気を買う側の新電力にとっては、先物取引を併用することで価格急変リスクを避けるニーズが高まっている。

 

 しかし、自ら大規模な発電設備を持ち電気を売る側の大手電力が参加しなければ、市場に供給される電力の流動性が限られ価格形成や取引に円滑さや公正さを欠く可能性も指摘されている。すでに欧米等では電力先物市場は整備されており、電力市場の自由化効果を高めるには欠かせない市場インフラになっている。

 

 東商取の浜田隆道社長は8日の記者会見で「総合取引所の議論は相手のあることだが、電力先物は最優先で取り組む」と述べ、単独でも上場を急ぐ構えを改めて示している。一方、政府の規制改革推進会議は19日の答申で、電力先物を含む総合エネルギー市場の創設に関し「総合取引所の実現と同時並行的に進める」と野方向性を示している。

https://www.tocom.or.jp/jp/

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181128&ng=DGKKZO38246240X21C18A1QM8000