HOME8.温暖化・気候変動 |COP24、世界の415の年金・資産運用機関等が政府の温暖化対策の強化やTCFDに基づく財務報告書改革等を求め、共同声明公表。日本からは三井住友信託銀、野村アセットなど7機関が署名(RIEF) |

COP24、世界の415の年金・資産運用機関等が政府の温暖化対策の強化やTCFDに基づく財務報告書改革等を求め、共同声明公表。日本からは三井住友信託銀、野村アセットなど7機関が署名(RIEF)

2018-12-12 00:08:47

cop24キャプチャ

 

 世界の年金基金や資産運用資産機関など415機関が、ポーランドで開いている国連気候変動枠組み条約第回締約国会議(COP24)で各国政府がパリ協定に基づいて公約している気候変動対策を強化するよう求める共同声明を発表した。声明に参加した機関の保有・運用資産総額は32兆㌦に達する。声明には日本から三井住友信託銀行や野村アセットマネジメントなど7機関が参加した。

 

 共同声明は、パリ協定に基づく各国の国別削減公約(NDCs)をパリ協定の目標である、産業革命前からの世界の気温上昇を1.5℃~2.0℃未満に適合するように強化することを求めている。パリ協定では日本を含む各国が自国の温暖化対策の実行を約束した。

 

 しかし、現在のNDCsの対策がすべて実行されても、パリ協定が目指す目標の実現には程遠いことが指摘されている。各年金・資産運用機関は、NDCsを実効性のある対策に切り替えることを主張。「クリーンエネルギーへのシフトは世界的に進行中だ。しかし、低炭素社会への移行を進め、経済、社会、金融システムを気候変動に対して対応できるように強化するには、もっと多くのことが為されねばならない」と指摘している。

 

 NDCsの強化見直しに加えて、石炭火力発電所の閉鎖、カーボンへの「意味のある」価格付け政策の導入、化石燃料への補助金の停止等を求めた。

 

 さらに、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が昨年の勧告で、気候情報開示の促進を求めていることを踏まえ、「われわれはTCFDの勧告を歓迎する。勧告を効果的にするには、各国政府はTCFDの適用を公に支援し、気候関連の財務報告書を改善にコミットすることが重要」と強調している。

 

 そうした政府への対応を求めたうえで、「パリ協定の実行をリードし、強固な気候・低炭素エネルギー政策を実行できる国と企業は、重要な経済的利益を手にし、将来の新しい産業が作り出す投資を引き寄せるだろう」として、経済構造の転換に取り組む必要性を強調している。

 

 共同声明には日本から、三井住友信託銀行、三菱信託銀行、日興アセットマネジメント、三菱UFJ国際資産運用、NN投資パートナー、野村アセットマネジメント、上智学院(上智大学)の各機関が署名した。グローバルには米国のカリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)や同教職員退職年金基金(CalSTRS)、スウェーデンのAP2~AP7の各公的年金基金などが名を連ねている。日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は加わっていない。

CDPキャプチャ

 投資機関の共同声明は、多くの環境、金融関連NPOの支援によってまとめられた。Asia Investor Group on Climate Change、 CDP、 Ceres、 Investor Group on Climate Change、 Institutional Investors Group on Climate Change、 Principles for Responsible Investment、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)などだ。

http://theinvestoragenda.org/wp-content/uploads/2018/12/GISGCC-FINAL-for-COP24-with-signatories_6-Dec-CORRECTION.pdf