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石炭等の化石燃料関連企業への投資引き揚げ宣言機関、1000社に達する。宣言企業の総資産総額は8兆㌦(900兆円)。日本の金融機関は石炭投融資ランキングで上位独占(RIEF)

2018-12-14 08:41:09

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  温暖化に最も影響を及ぼしている石炭火力発電所などの化石燃料関連企業への投資を中止するダイベストメント(Divestment:投資引き揚げ)行動が広がっているが、このほど、ダイベストメント宣言をした機関数が1000社を突破した。宣言をした機関投資家等の総資産額は8兆㌦(約900兆円)に達している。

 

 環境NGOの350.orgが公表した。5年前は宣言機関数で181機関、金額は5兆6000億円だったので、機関数で5.5倍、総資産額で160倍に増えたことになる。1000番目の宣言機関は、フランスの「預金供託金庫(Caisse des dépôts et consignations: CDC)。CDCは同国の公共部門の年金と預貯金と投資の管理を行っており、運用資産額は1730億ユーロ(日本円で20兆円超)。

 

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 CDCはこのほど、2019年以降は、石炭関連が事業収益の10%以上を占める企業への投融資を打ち切ると表明した。350.orgは、このCDCの方針により事実上、石炭産業上位200社がブラックリスト入りすることになる、としている。

 

 一方、先に公表された環境NGOの国際的共同調査では、石炭火力発電への貸付を行う金融機関の世界ランキングで、日本のみずほフィナンシャルグループが1位、三菱UFJフィナンシャル・グループが2位、三井住友フィナンシャルグループが4位と、日本の3大メガバンクが上位を独占している。また年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は石炭関連企業への投資額が世界第2位だった、と指摘されている。http://rief-jp.org/ct1/85301

 

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 350.orgは、ダイベストメント宣言が1000件に達したことは、日本の金融機関を筆頭にして現在も化石燃料投資を継続する世界の大手金融機関に対して、「『化石燃料時代に終止符を打たなければならない』という強いメッセージを突きつけた」と強摘している。

 

 CDCの宣言後にも、新たにダイベストメント宣言を実施した機関が相次いでいる。フランスのAG2 la mondiale(資産額1140億㌦)、オーストラリアのAustralian Vision Super Fund(90億㌦)、米国のブランダイス大学(Brandeis University:9億9700万㌦)などが名を連ねた。

 

 「ダイベストメント1000機関達成」の知らせは、ポーランド南部カトヴィツェで開催中の国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)で、参加者に報告された。

 

 350.org事務局長のメイ・ブーヴィ( May Boeve)氏は「世界中に拡大しインパクトをもたらすようになった、このムーブメントの大きさに、ただただ感嘆するばかりだ。エクソンやシェルをはじめとした化石燃料企業に対するダイベストメントの流れを構築したのは、市民主体の草の根運動だ。ごく一般の人々が地元の金融機関に働きかけ、気候危機最大の要因をつくりだしてきた化石燃料産業に対し反対の立場を打ち 出すよう求めてきた」と述べている。


 30.org.Japan代表の古野真氏は「キャンペーンの次のステップは、アジアを中心としてダイベストメント宣言を2000件以上にまで押し上げること。 今後も、石炭開発に投融資する銀行に対して責任ある銀行業務を求めるため、個人および組織に気候変動を促進する事業を支援する銀行から預金を引き揚げることを積極的に訴えかけていく」と語っている。

 

 そのうえで「化石燃料に投融資する銀行からダイベストしたお金を、万人のための再生可能エネルギー100%への公正な移行を促す投資に回すよう、企業や大学に対し、さらに大きく訴えかけていきたい」としている。

https://crm.350.org/civicrm/mailing/view?reset=1&id=994