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トヨタ、ブラジルでエタノール走行が可能なハイブリッド車(HV)生産へ。2019年末までに生産開始(各紙)

2018-12-14 07:45:17

toyotabキャプチャ

 

   各紙の報道によると、トヨタ自動車は13日、植物由来のエタノールで走るハイブリッド車(HV)を2019年末までにブラジルで生産開始すると発表した。エタノールとHVの組み合わせの実用化は世界で初めて。ブラジルをはじめ、南米各国はインフラが未整備なため、電気自動車(EV)などエコカーの普及が遅れているが、エタノールは普及していることから、エタノールを活用できる車種を投入し、シェアを高める計画だ。

 

 (写真は、トヨタが3月に発表した、エタノールで走行するHVの試作車)

 

 日本経済新聞が報じた。サトウキビを原料とするエタノール燃料はガソリンに比べ安価なためブラジルで幅広く利用されている。しかし、これまで既存のHVはエタノールに対応できていなかった。そこでトヨタは3月に「プリウス」をベースとしたエタノール対応HVの試作車を公開し、現地投入に向けて開発を進めてきた。

 

 バイオエタノールは環境への負荷が小さい一方で、燃料として利用する場合、ガソリンに比べ燃費が悪くなる。この欠点を克服するため、トヨタは動力としてモーターと併用するHVの機構を活用し、長距離を走れるように工夫した。

 

 現在、バイオエタノール車の市場はブラジルや南米の一部にすぎない。だが、これらの地域はEVの充電インフラが未整備で、エコカーの普及が遅れている。トヨタはブラジルで2013年にプリウスを発売するなどHVの普及を進めてきた。しかし、いまだにニッチの域を出ない。

 

 トヨタはグローバル市場ベースでは、2030年にHVやEVなどの電動車の販売台数を550万台以上に引き上げる目標を掲げている。目標達成のために、現地ニーズに合わせたHVの投入によって、現地市場の開拓を進める方針だ。

 

 今回発表したブラジルでのHVの現地生産も、南米では初めての試みになる。今のところ、生産する車種や台数などは明らかにしていない。まずは、小規模生産からはじめ、市場の需要を見極めながら、生産規模を弾力的に調整していくとみられる。

 

 ブラジルでは日産自動車や米ゼネラル・モーターズ(GM)などが、相次ぎEVの投入を表明している。これに対してトヨタは、充電設備が必要なく、燃料費が安価なエタノール対応HVをエコカーの本命として売り込む方針だ。

 

 ブラジルのテメル大統領は10日、自動車産業振興策「Rota2030」に署名した。次期大統領に選出されたボルソナーロ氏も、産業政策を重視しており、テメル政権が打ち出した「Rota2030」は継続されるとみられている。同振興策ではトヨタの要望に応じて、エタノール対応HVへの工業製品税の減税などが含まれており、普及の追い風となることが期待される。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38921310T11C18A2000000/