物流施設特化型J-REITの「GLP投資法人」、51億円のグリーンボンド発行。大阪府での「GLP寝屋川」のリファイナンス資金に充当(RIEF)
2018-12-17 23:51:53
物流施設特化型の不動産投資信託(J-REIT)のGLP投資法人(東京)は、今年5月に竣工した大阪の物流施設「GLP寝屋川」のリファイナンス資金の一部として、総額51億円のグリーンボンドを発行した。今年はJ-REITのグリーンボンド発行が相次いでいるが、単一物件の「グリーン倉庫」向けのボンド発行は初めて。
(写真は、グリーンボンド資金が充当される大阪の物流施設「GLP寝屋川」)
J-REITによるグリーンボンド発行は、今年すでに5件ある。GLP投資法人の場合、物流施設特化型という特徴を生かして、単一物件の資金使途に絞った点で、投資家にとって分かり易い内容になっている。
グリーンボンドの資金使途先となる「GLP寝屋川」は、親会社の日本GLPが今年5月に大阪府寝屋川市に完成させた。倉庫は首都圏や京阪神地区等でファッションアパレル、雑貨、EC等の物流事業を展開する「丸二倉庫」が入居、アパレルメーカーのアーバンリサーチ社の全国配送向け物流拠点として活用されている。
「GLP寝屋川」は、丸二倉庫専用仕様として、倉庫内で働く従業員の労働環境向上のため、冷暖房設備のほか、大型シーリングファン「ビッグアスファン(Big Ass Fans)」を設置、空調効果を高めた。屋根材には高反射色を採用し、最上階の断熱性や遮熱性対応を高めた。各階にハイサイドライトを設置して外光を採り入れ、省エネ化を実現するなどの工夫をした「グリーン倉庫」となっている。
同物件は、「CASBEE大阪府」で、B+(良い)の評価を得ている。グリーンボンドの期間は10年、利率は年 0.680% 、引き受け主幹事はSMBC日興証券、野村證券、みずほ証券の3社が引き受け、グリーンボンド・ストラクチャリング・エージェントはSMBC日興証券が務める。グリーン性については、日本格付研究所(JCR)が、同社のグリーンボンド評価で最上位の「Green 1」を付与した。
同社は、グリーンボンド発行後、ウェブサイト上で調達資金の充 当状況を対象となるグリーンボンドの発行額がゼロになるまで、年1回の定期報告を実施する。またボンド残高がある限り、ウェブサイトでは各年の2 月末時点の①充当された調達資金の総額 ②未充当の調達資金の残高③グリーン適格資産の物件数④取得した各種環境認証のレベル、の各項目を開示するとしている。
同社のグリーンボンドフレームワークによると、同社が保有する物件は76物件、時価総額6094億円(11月末時点)。このうちグリーン適格資産は25物件の3179億円分となっている。これらグリーン適格資産の取得価格の総額に総資産額に対する有利子負債比率の実績値を乗じて算出した「グリーン適格負債額」は1434億円とはじいている。
親会社のGLP Pte. Ltd.,はシンガポールを拠点とした不動産投資会社で、日本だけでなく、中国、米国、ブラジルなどに物流施設等を約5500万㎡規模を保有する。中国では38都市で252の物流施設を運営し、その中には主要な空港、港湾、高速道路ネットワーク、物流ハブなどが含まれている。日本では東京、大阪を中心に97の施設を保有している。