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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がTCFDに署名。世界の年金では71番目。環境NGOは「保有石炭火力資産73億㌦」と指摘。情報開示の徹底が求められる(RIEF)

2018-12-29 12:47:20

GPIFキャプチャ

 

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、金融安定理事会(FSB)の「気候関連財務情報開示タスク フォース(TCFD)」への支持を表明した。 GPIF は「 ESG 情報の開示促進を通じ、市場全体の持続可能性向上に努める」とコメントしている。環境NGOは、GPIF は石炭火力発電向けに世界の機関投資家として二番目に多い73億㌦(約8000億円)を保有していると指摘しており、TCFD支持機関としての説明責任を求められる形だ。

 

 TCFDへの支持表明は経済産業省も行った。この結果、日本勢の支持機関・社は42となった。 TCFDへの支持表明をした年金基金は国際的には米カリフォルニア職員退職年金基金(CalPERS)、カリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)、スウェーデンの各APなど70機関に達しており、71番目のGPIFは、遅ればせの参加となる。

 

 ドイツの環境NGOウルゲバルト(Urgewald)と国際環境NGOバンクトラック(BankTrack)等が今月初めに、各国の26のNGOと共同でまとめた報告書では、気候変動への影響の大きい石炭火力発電事業者の株式や債券発行の引き受けの多い機関投資家をリストアップしている。

 

coal2キャプチャ

 

 それによるとGPIFは、米国の大手資産運用会社ブラックロック(保有資産額110億㌦)に次ぐ保有高(41の石炭火力事業者に対し、73億㌦)と指摘している。ブラックロックは民間機関なので、公的機関としてはGPIFが「世界最大の石炭火力支援年金」ということになる。GPIFは、TCDF支援と石炭火力支援のギャップを説明する責任が求められる。

 

 調査をまとめたウルゲバルトのHeffa Schücking氏は「我々の調査に名を連ねている世界的な投資家および銀行の多くが、気候変動に対する責任を有することは明らか。これらの投資家および銀行のお金の流れは、我々の地球を文字通り燃やしている」と批判している。

 

 また、経産省の支持表明で日本の官庁は、金融庁、環境省を合わせて3省庁になる。TCFDには国の機関の場合、英国や、フランス、スウェーデンのように政府として一括して支持表明をしているところも少なくない。日本も省庁ごとでなく、政府として一本化してはどうか。

 ttps://www.gpif.go.jp/investment/TCFD_support_statement.pdf

https://coalexit.org/database