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太平洋セメント、セメント・キルン排ガスから大量に出るCO2を一挙に抑制へ。CCS(カーボン分離・回収)技術を応用する実証実験、今月開始。国内初(RIEF)

2019-01-07 07:54:38

CCScement1キャプチャ

 

 太平洋セメントはCO2排出量の多いセメント製造工程のキルン(回転窯)から排出されるCO2を、化学的に分離・回収するセメント版のCCSを応用した実証事業を今月中旬から実施する。CCSは石炭火力発電用の用途が期待されているが、セメント製造にも応用するのは国内では今回が初めてとなる。

 

 太平洋セメントは、環境省の「環境配慮型CCS実証事業」に参画する形で、今月中旬から試験運転を行い、2月上旬から本格的な実証実験に移る予定だ。セメントの製造には、1450℃という高温での焼成時にCO2が大量に排出されるほか、焼成工程で主原料の石灰石が高温によって脱炭酸状態になり、CO2をさらに排出する。

 

 このため、世界中でもCO2排出量の多い産業として、鉄鋼、化学、発電所等とともに、抜本的な対策の必要性が求められている。太平洋セメントでは、製造工程のキルンから出る膨大なCO2を化学吸収法で分離・回収するCCS技術の応用を目指す。CCSの応用は清掃工場などで導入された実績はあるが、セメント工場では初めてとなる。

 

 実証実験は、同社の藤原工場(三重県いなべ市)にCO2を分離・回収する試験装置を設置。セメント製造プラントへの応用が可能かどうかを、実際にセメントキルンから発生する排ガスを使って実験を進める。キルンの排ガスには化学吸収法を応用するうえで注意を要する酸化ガス等の成分が含まれていることから、その影響度を評価、見極めることが実用化への最大の課題、としている。

 

 環境省の環境配慮型CCSの実証実験は、2016年から2020年までの5年間で実施されている。太平洋セメントは今年度から参加している。今回の実証実験で技術的なめどがつけば、スケールアップをしたうえで、実用化の道を目指すことになる。

http://www.taiheiyo-cement.co.jp/news/news/pdf/181206.pdf