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WWFジャパン、産業別温暖化対策ランキング調査「機械・精密機械」分野で、機械トップはナブテスコ、精密機械はニコン。全体に情報開示レベル高いが、再エネ目標導入は1社だけ(RIEF)

2019-01-28 23:57:42

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   環境NGOのWWFジャパンは、産業ごとの「企業の温暖化対策ランキング」第9弾として、「機械・精密機械」両分野の主要企業の温暖化対策の評価結果を公表した。機械でもっとも高い点は、ナブテスコ(80.5点)、精密機器では、ニコン(73.4点)だった。両産業とも過去の他産業に比べ、情報開示レベルは高いものの、有効な長期目標が不在などの課題も多い、と評価された。

 

 WWFのプロジェクトでは、各社が発行する環境報告書やCSR報告書などを基に、温暖化対策の取り組みを(1)目標および実績(2)情報開示、の2つの観点から、21の指標を設けて点数化、評価する。このうち、特に重要な7指標が①長期的なビジョン②削減量の単位③省エネルギー目標④再生可能エネルギー目標⑤総量削減目標の難易度⑥ライフサイクル全体での排出量把握・開示⑦第3者による評価、としている。

 

 今回、対象となった「機械・精密機器」に属する日本企業は39社。機械分野で第1位のナブテスコ(80.5点)に続き、日立建機(74.9点)、ダイキン工業(74.7点)、クボタ(71.9点)、ダイフク(70.6点)の順。一方、精密機器ではニコン(73.4点)、オリンパス(62.3点)、テルモ(52.5点)の順。

 

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  機械分野で第1位のナブテスコは、「情報開示」の評点(50点満点)で45.8点と高い点数を得たほか、「2050年に温室効果ガス排出量を総量で80%削減」という野心的な長期目標を掲げ、「目標・実績」(50点満点)でも34.6点と比較的高い点数を得た。同社はSBT(Science Based Targets)にも取り組んでおり、パリ協定と整合した長期的ビジョンを掲げている。


 また「情報開示」では、Scope 1、2(自社の事業範囲)に加え、Scope 3(自社の事業範囲の上流および下流)の15のカテゴリーについても排出量の把握・開示を行い、第3者検証を受けるなど、温室効果ガス排出量データの信頼性を高めていると評価された。ただ、「再生可能エネルギー導入目標」が設定されていない点などが課題とされた。

 

 2位の日立建機は、親会社の日立製作所が掲げる「日立環境イノベーション2050」を自社の目標に落とし込んだ中期計画を策定しており、長期目標において満点を獲得した。3位のダイキン工業は今回の評価対象の30社中、再エネ導入目標を掲げた唯一の企業と評価された。

 

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 「精密機器」業種で、業界内の偏差値が60以上となったのはニコン1社だけ。同社は「情報開示」では満点(50点)を獲得し、これまでのWWFジャパンの業種ごと温暖化ランキング全体を通じて、2社目の満点取得企業となった。ただ、「目標・実績」の重要項目である長期ビジョンや再エネ目標には取り組みが十分ではない、として全体の点数は機械分野の企業より伸び悩んだ。

 

 

 業界全体の総合得点の平均点は、機械が45.5点、精密機器48.0点と、過去に実施した8業種と比較して、比較的高めの水準となった。他業種のこれまでの平均点は、電気機器48.7点、輸送用機器46.7点、食料品44.8点、小売業・卸売業34.1点、金融・保険業34.9点、建設業・不動産業47.2点、医薬品54.4点、運輸業45.8点。



 全体的に「情報開示」の取り組みレベルが高く、Scope 1、2に加えて、Scope 3を意識した開示を行っている企業が、過去の調査業種に比べて非常に多くあった、としている。ただ、再エネ目標導入企業は、両業種を通じて、ダイキン工業だけという点がこの業種の課題、としている。

 https://www.wwf.or.jp/activities/data/20190118_climate01.pdf