HOME10.電力・エネルギー |屋根置き住宅用太陽光発電、出火防ぐ不燃材未設置が主な要因。保守点検していない住民も約7割も。消費者安全委員会調べ(RIEF) |

屋根置き住宅用太陽光発電、出火防ぐ不燃材未設置が主な要因。保守点検していない住民も約7割も。消費者安全委員会調べ(RIEF)

2019-01-29 17:11:06

solarajiko5キャプチャ

 

  消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は28日、住宅用の太陽光発電による火災の調査結果を公表した。2008年以降2017年末までに、報告された事故件数は127件。このうち、太陽光パネルやケーブル等から出火した13件を調べたところ、すべてのケースでパネル等からの出火を防ぐ不燃性素材を使用していなかったことがわかった。また、太陽光設備の保守点検をしていない住民が7割にのぼることから、同委員会では、点検義務の周知を消費者庁に要請した。

 

 (写真は、左が出火したパネル、右はモジュールを撤去後の様子:2014年東京で発生した例)

 

 事故調によると、全国の住宅等に設置されている太陽光発電は18年10月時点で累計約240万台。これらのうち、パネル等から出火した13件は件数としては少ないが、すべてのケースで不燃性素材がなかったことから屋根に延焼して被害が拡大した。また国内複数メーカーの設備を調べると、同様の発火を起こす恐れがあることもわかった。

 

 このため、同委は、構造上、全製品に発火の危険性があると判断している。太陽光パネルと屋根の間に瓦や鉄板などの不燃性の素材がない場合、延焼して重大な火災になると、注意を呼びかけている。モジュールと屋根下地との間に不燃材がないタイプを販売しているメーカーは国内で少なくとも3社以上ある。複数のメーカーの担当者は「製品は耐火試験を受け、国の認可も受けた」と話しているがモジュールの下に、もう1枚屋根(素材)を敷くという発想はなかったという。

 

 solarajko6キャプチャ

 

 メーカーに出火リスク対応の認識が欠けていたほか、所有者の7割が保守・点検をしていないこともインターネット調査で判明した。再生エネルギー固定価格買取り制度(FIT)では、個人の所有者もシステムの保守点検が義務づけられている。しかし、そうした認識を持っている人は少ないことがわかった。

 

 このため、事故調は所有者に向けて、①パネルと屋根の間の素材の不燃性について、設置事業者などに問い合わせる②不燃性素材がなく、木材の上に直接パネルが乗っている場合は早急に対応を依頼する――等の対応をとることを求めている。

 

 住宅用太陽光発電システムは、2009年に余剰電力買い取り制度等が始まったほか、2012年にはFIT制度が導入されたことで、一時は年間30万件が設置されるなど、普及が進んだ。ただ、FIT価格の引き下げ等が続き、近年は年間100万台前後で推移している。

 

 solarjiko7キャプチャ

 

 屋根置きの住宅用太陽光発電システムは、導入件数の大半(約95%)を占める。設備そのものが屋根の上に置かれているため、住人は不具合があっても気がつきにくい。またモデュールが出火した例では、主に使用年数が7年以上経過したものが多いが、中には、設置後半年~1年のものもある。ケーブルからの発火は、主に施工不良が原因と推定している。

 

 モデュールの出火の原因として、一つは配線接続部の不具合が、想定される。経年劣化や製造時にハンダの強度が不十分な要因で、配線接続部が高抵抗化が発生する。この影響でバイパス回路が常時通電状態となり、耐久性の限界を上回り、断線を起こす。その結果、高抵抗化がさらに進行し、異常発熱を、あるいは断線から過電圧によってアーク放電を起こすなどで、発火に至ったと、推定している。

 

また、外壁に設置したパワーコンディショナーからの出火例もある。機器の設置場所が、浴室に近いような不適切な場所で、内部に水分等が侵入し、回路の絶縁不良、トラッキングが発生する場合や、コンデンサの絶縁破壊が生じて、破裂やスパークが生じて発火したとも推定される。

https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_012/pdf/report_012_170922_0001.pdf

https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_012/pdf/report_012_190128_0002.pdf