HOME10.電力・エネルギー |岩手県八幡平で、22年ぶりの中規模以上の地熱発電稼動。JFEエンジニアリングとJOGMEGなどが共同開発。政策対応の遅れで、国内の豊富な地熱資源を活かせない現状を克服できるか(RIEF) |

岩手県八幡平で、22年ぶりの中規模以上の地熱発電稼動。JFEエンジニアリングとJOGMEGなどが共同開発。政策対応の遅れで、国内の豊富な地熱資源を活かせない現状を克服できるか(RIEF)

2019-01-30 14:40:00

iwatechinetsu3キャプチャ

 

 JFEエンジニアリングなど4社と独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が出資する「岩手地熱」(岩手県八幡平市)が開発を進めてきた松尾八幡平地熱発電所が29日、本格運転を始めた。出力は7499kWで、国内の中規模以上の地熱発電の稼動は22年ぶり。わが国は地熱資源は豊富にあるが、政策対応の問題もあって、開発が遅れている。

 

 (写真は29日に稼動した岩手地熱)

 

 岩手地熱は、2011年10月に松尾八幡平地域における地熱開発を目的に設立された。2013年からは構造試錐井の掘削を進め、17年に事業化を決定していた。

 

岩手地熱の設置場所
岩手地熱の設置場所

 

  同発電所の稼動で、国内での地熱発電量は50万kWにとどいた。政府は2030年の電源構成で地熱発電の割合を1%としており、目標達成には合計150万kWの発電所が必要。だが、岩手地熱を含めて、ようやく3分の1になった段階。今年5月にはJパワーなどが秋田県湯沢市で稼働させる出力4万2000kWの発電所が立ち上がるが、その後は、2024年まで中・大型発電所の稼働予定はない。

 

 日本の地熱資源量は米国とインドネシアに次ぐ第3位にある。だが、資源利用率は2%程度にとどまっている。2030年目標の達成も見通せない実情が当分、続きそうだ。原発、石炭火力に偏重したわが国のエネルギー政策のツケが、豊富な自然資源を活かせない矛盾を生み出しているともいえる。

 

発電所の全景
発電所の全景

 

 稼動した松尾八幡平地熱発電所は一般家庭1万5000世帯分の電力をまかなえる。発電した電力は固定価格買取り制度(FIT)を利用して全量を東北電力に1Kw時当たり40円の固定価格で売却する。売却価格は太陽光発電より高い。FIT期間は15年間。発電に伴い放出される排熱温水は、八幡平市に提供する。

 

 同事業には、JFEエンジニアリングなどのほか、日本重化学工業(東京・中央)、三井石油開発、地熱エンジニアリングも出資している。

http://www.jfe-eng.co.jp/news/2019/20190129081644.html