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伊藤忠商事、新規の石炭火力発電関連事業等からの撤退を表明。豪州の石炭権益の一部を売却。主要商社で石炭事業見直しを表明していないのは住友商事だけに(RIEF)

2019-02-16 13:06:14

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 伊藤忠商事は、地球温暖化を加速する石炭関連ビジネスについて、「新規の石炭火力発電事業の開発および一般炭炭鉱事業の獲得は行わないことを、取組方針とする」と表明した。主要商社で石炭ビジネスからの撤退表明は、丸紅、三井物産、三菱商事に次ぐ。住友商事の動きが注目される。

 

 伊藤忠によると、今回の方針は、ESGの視点を取り入れたサステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)の一つとして「気候変動への取組み(低炭素社会への寄与)」を特定したことによるとしている。石炭関連事業は業績や同社のステークホルダーへの影響が大きい、と判断した。

 

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 ただ、既存の一般炭炭鉱事業については、国内外の需要家へのエネルギー安定供給の社会的要請に応える必要がある、として今回の方針の対象外とする。代わりに「持続可能な社会の発展に貢献すべく継続してレビューを行う」としている。

 

 石炭ビジネスからの撤退表明に伴い、オーストラリア子会社の「ITOCHU Mineral & Energy of Australia Pty Ltd.:IMEA」が保有するRolleston一般炭炭鉱の全持分権益を売却した。同社は2016年9月にも同じオーストラリアのNCA炭鉱権益も売却している。

 

 既存の石炭関連事業は継続する方針で、大手資源会社Glencore社と共同で、オーストラリアのクイーンズランド州とニューサウルウェールズ州で運営している石炭生産ジョイントベンチャー(年生産量3000万㌧超)や、2011年に20%の権益を取得したコロンビアのドラモンド炭鉱(同3000万㌧)などは今後も維持する。

 

 大手商社の石炭ビジネスからの撤退は、2018年9月に丸紅が石炭火力発電所の新規開発事業から撤退と、既存の石炭火力権益の2030年までに半減などを打ち出したが最初。12月には三菱商事と三井物産も発電用の燃料用石炭の鉱山事業から撤退を表明した。http://rief-jp.org/ct4/82807 http://rief-jp.org/ct8/85863

 

 伊藤忠の「脱石炭火力」方針を受けて、大手商社で従来通りの石炭ビジネスを維持する姿勢をとっているのは住友商事だけとなる。住商は、三菱商事が売却するオーストラリア子会社保有の石炭権益を購入する企業に出資しており、石炭権益を増やす役割を演じている。

 

 住商は、OECD輸出信用ルールでは輸出禁止対象となっている超臨界圧石炭火力(SC)の建設計画をベトナムで進めており、世界の環境NGO団体から批判を浴びている。http://rief-jp.org/ct5/86994

 

https://www.itochu.co.jp/ja/csr/news/2019/190214.html