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GE、世界最大の洋上風力発電設備「ハリアデX」を日本市場に売り込み。1基で12MW(メガソーラー12基分)を発電。火力発電事業からの転換で、日本市場に照準(各紙)

2019-02-28 10:53:21

GE1キャプチャ

 

 各紙の報道によると、米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、同社が開発した世界最大の発電容量を持つ洋上風力発電設備を日本市場に売り込む。出力は1基で12MW(1万2000kW)。これまでの機種より2割以上も強力で、世界最大の発電能力となる。GEは昨年、火力発電事業で巨額の損失を出しており、再生可能エネルギー事業を次の主力事業と位置づけている。

 

 (写真は、GEが日本市場への投入を想定している世界最大の洋上風力発電設備)

 

 日本経済新聞が報じた。GEの再エネ部門でデジタルサービス事業のCEO(最高経営責任者)を務めるアン・マッケンティ氏は、「再エネ導入を進めている日本はキーマーケットだ」と述べた。洋上風力が普及していない日本に注力し、開拓の先陣を切ることを目指す。

 

 その日本市場に投入するのが、世界最大の発電力を持つ「ハリアデX」だ。現在、欧州で実証機を建設中という。日本では台風等強風の影響が大きいことから、日本の気候を考慮した仕様に設計を改良して、2022年までに投入する計画という。

 

 GEは、陸上用風力発電でも、世界最大の発電容量(5.3MW)となる「サイプレス」を発売する計画という。GEは昨年、火力発電事業で2兆円を超す巨額損失を計上している。

 

 昨年10月にCEOに就任したラリー・カルプ氏は、同社の主軸である発電事業全体について立て直しを進めており、「ハリアデX」を再エネ市場開拓の軸になる機種と位置付けている。一方、同社は25日にはバイオ医薬機器事業を214億㌦(約2兆3600億円)で米ダナハーに売却している。

 

 GEは有利子負債を2兆円以上抱えている。財務改善のために、中核事業の再建と収益基盤の強化を「GE復活」の両輪としている。世界的な温暖化規制の広がりと、投資市場での「脱石炭・脱化石燃料」を求める動きが強まっていることから、火力発電に代わる収益源として再エネ事業に力を入れていく方針だ。

 

 マッケンティ氏は「GEにとって再エネは今や主流事業」と語っている。同社の再エネ事業の売上高はすでに全体の1割超を占め、その成長率は航空や医療事業等よりも高いという。再エネ事業についても、風力だけでなく、水力発電やバイオ発電等、多様な商品群をそろえているのも同社の強みとなる。

 

 GEの「脱化石燃料」へのカジ取りが、本気であるのは、今月に入って、電力事業のカギとなる送配電事業について、従来の火力部門から再エネ部門に移したことにも表れている。再エネ事業主軸の事業体制を強化することで、米国内外での市場競争力を高めていく。

 

 GEが再エネ分野の世界戦略の中で、有望市場として照準を定めている日本では、政府が新しいエネルギー基本計画で2030年までに再エネ比率を22~24%にすると決めている。昨年末には洋上風力開発を促進する法律も成立するなど、市場整備と政策支援の環境が整いつつある。

 

 新法では、洋上風力発電事業での最大の障壁とされている漁業者の漁業権との調整についても弾力的なルールが設定される。こうしたことから、国内外の主要メーカーは日本市場がこれまでの潜在市場から、本格的な成長市場に移行するとみて、活発な売り込み活動を展開している。

 

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190228&ng=DGKKZO41843600X20C19A2TJ3000