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日本製紙、脱プラスチックの流れを受けて、紙パッケージ製品用原紙の製造力を増強。米工場に110億円投資。グローバル市場への供給を目指す(RIEF)

2019-03-14 11:50:03

nihonseisiキャプチャ

 

 日本製紙は14日、グローバルにプラスチック廃棄物問題が高まり、プラ容器から紙製品への需要シフトが進んでいることを受け、傘下の米国工場に総額110億円を投じて、牛乳パックなど紙容器の原料となるパルプなどの製造能力を増強する、と公表した。2020年5月から稼働させる。

 

 同社は、業構造転換の中で、パッケージ事業を成長分野の一つと位置付け、世界的に進む脱プラスチックの流れを追い風にして、新たなバリューチェーンの拡大を目指している。

 

 同社は、2016 年 8 月末に米国ウェアーハ ウザー社(Weyerhaeser Company、ワシントン州)から紙パッケージ用原紙生産工場を買収、日本ダイナウェーブ パッケージング(NDP)として傘下に置いている。

 

米ワシントン州のNDPの工場
米ワシントン州のNDPの工場

 

 NDPは、牛乳・ジュース等向け紙容器の原紙、カップ容器用の原紙等の製造・加 工・販売を中心としている。グループ全体でも、紙パック事業を含むパッケージング部門の原紙サプライヤーとして重要な位置を占める。ただ、これまでは、同社製品の販売先は、近隣地域に限定されていた。これを、設備強化によってグローバルに拡大することを目指す。

 

 今回の設備投資増強は、同社の工場に、パルプを乾燥させて漉き取る設備(ドライパルプマシン)を新設(約72億円)するほか、現在の抄紙機ドライエンド工程の改造(約43億円)を行う。こうした設備投資によって、製造する原紙のパッケージ商品の印刷適性を高めることができ、製品の品質向上と生産効率の改善を見込めるという。

 

 また、紙素材への包装材料シフトが世界的な潮流となることから、プラ スチック製トレイの代替となる堆肥化可能(コンポスタブル)な紙器用原紙など新製品開発にも積極的に取り組むとしている。

 

 ただ、紙製品の原料であるパルプについても、基本は自然資源であるだけに、開発が行き過ぎると、森林破壊や地域住民との軋轢が生じるケースもある。NDPの場合は、豊富な森林資源がある米ワシントン州で操業するが、同社には安定した循環型のシステムの構築を期待したい。

 https://www.nipponpapergroup.com/news/mt_pdf/20190314mmn259.pdf