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福島・浪江町に、日産の電気自動車「リーフ」の使用済みリチウムバッテリーを再生した街路灯12基、灯る。EVバッテリーの再生で被災地の再生を支援(RIEF)

2019-03-21 12:00:00

reborn1キャプチャ

 

 省エネLEDの開発等を手掛ける「MIRAI-LABO」(東京・八王子市)は、東京電力福島第一原発事故からの復旧が進む福島県双葉郡浪江町の国道114号線に、日産自動車の電気自動車(EV)リーフの使用済みバッテリーを活用した独立電源街路灯が12基、設置された。同事業は、日産と住友商事がEV用バッテリーの二次使用を進める共同会社「フォーアールエナジー」のプロジェクトの一環。

 

 フォーアールエナジーは、EVに使用されたリチウムイオンバッテリーの二次利用を行う4R事業(再利用/Reuse、再販売/Resell、再製品化/Refabricate、リサイクル/Recycle)を共同で推進するために、2010年に設立された。今回、災害復興から再生しつつある浪江町に、EVから生まれ変わった街路灯を設置することで、被災地支援とEVに利点を両方アピールする狙いがある。

 

 「MIRAI-LABO」が開発・製造した街路灯「THE REBORN LIGHT」は、太陽光発電のエネルギーをEVの使用済みバッテリーで蓄電し、夜間に点灯させる仕組み。デザインはS字型をしており、「幸せを運ぶコウノトリを模したもの」という。自然エネルギーの吸収性を高め、自然災害への耐久性も兼ね備えている。

 

EVバッテリーの再生で、福島の再生を目指す
EVバッテリーの再生で、福島の再生への貢献を目指す

 

 福島事故の被災地だけでなく、無電化地域は日本国内にも数多くある。さらに、世界を見渡すと、「THE REBORN LIGHT」の活用地域は大きく膨らむ。同社の担当者は、「今回はコンセプトを明確にするために、大型でデザイン性のある街路灯にしたが、今後は、小型で安価なものを量産し、世界中の無電化地域に明かりを届けたい」と述べている 同社では、この街路灯を設置したい企業・自治体を募っている。

 

 EVやハイブリッド等の低炭素車のバッテリーや部品を再利用する試みは複数広がっている。秋田県の小水力発電開発ベンチャーの東北小水力発電(秋田市)は、トヨタのハイブリッド車「プリウス」の廃車から電動モーター等を小水力発電の電源にする仕組みを開発、コストダウンを図っている。http://rief-jp.org/ct7/88056?ctid=72

 

 また、日本自動車工業会(東京都港区)も2018年10月から、自動車メーカー各社などと共同で、EVのリチウムイオンバッテリーの共同回収スキームを実施している。海外ではEUが、サーキュラーエコノミーを政策として推進しているが、日本企業は伝統的にリサイクル・再生技術を得意にしており、すでにサーキュラーエコノミーは根付いているといえる。

http://mirai-lab.com/

https://www.4r-energy.com/