兵庫県養父市で、ブランド牛「但馬牛」の畜産廃棄物を活用したバイオマス発電所完成。ブロイラー廃棄物も加え、牛鶏チャンポン発電。排熱でブランドトマトも育成へ。トーヨーグループ(RIEF)
2019-04-05 13:33:24
建設・不動産、エネルギー等を手掛けるトーヨーグループ(東京)は、兵庫県養父市でブランド牛「但馬(たじま)牛」の畜産廃棄物を利用したバイオマス発電所を完成させた。発電出力は1426kWで一般家庭約1800世帯分の電力供給を見込んでいる。ブランド牛が生み出す電力を利用して、冬季でもトマトなどの営農が可能な植物工場も運営し、エネルギーの地産地消モデルを目指す。
(写真は、完成したバイオマス発電所)
バイオマス発電所は「トーヨーバイオメタンガス発電所」。年3月末に現地で竣工式を開いた。年間発電量は1200万kWhを見込む。発電に利用する畜産廃棄物は、但馬牛の飼育で発生するふん尿のほか、ブロイラー産業からの鶏ふん等。これらに兵庫県内の食品加工会社から出る食品残渣も加えて、メタン発酵させる。「牛と鶏に食材を加えたチャンポン原料」ということになる。
発電は、発酵によって発生するメタンガスによるガス発電を行う。発電した電力は固定価格買取制度(FIT)を活用して売電する。また、発電後に副産物として発生する消化液は、有機肥料として同地域での特別栽培米や野菜栽培に活用する。液肥は循環水再生処理をおこない、発酵槽の希釈水として施設内で循環利用するため、河川等への放流はなく、周辺環境への負荷もないという。
兵庫県北部に位置する養父市は、神戸牛の元にもなる「但馬牛」の飼育地で知られる。畜産や農業が盛んで、同市は地域産業を生かした「養父市バイオマスタウン構想」を掲げ、農林水産省の「バイオマス産業都市」にも認定されている。今回の発電所もそのプログラムに沿った事業展開となる。
トーヨーグループは今後、発電所の隣接地にトマトを栽培する植物工場を建設する予定という。発電所の排熱を活用することでエネルギーコストを削減できるほか、冬でもトマト栽培が可能となり、ブランドトマトとして売り出す方針だ。ブランド牛が電力とともに、ブランドトマトを生み出すことになる。
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