HOME4.市場・運用 |2018年度の国内太陽光発電事業者の倒産件数、過去最高の96件に。負債総額は第3位。2016年度以降3年連続で高水準の倒産続く。帝国データバンク調べ(RIEF) |

2018年度の国内太陽光発電事業者の倒産件数、過去最高の96件に。負債総額は第3位。2016年度以降3年連続で高水準の倒産続く。帝国データバンク調べ(RIEF)

2019-04-08 23:04:56

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 帝国データバンクは、2018年度の国内の太陽光関連業者の倒産状況をまとめた。それによると、同年度の倒産件数は前年比17.1%増の96件。5年連続で増加し、過去最多を更新した。負債総額は前年より若干下がって(5.7%減)、262億7600万円で過去3番目だった。2016年以降、3年連続で高水準の倒産が続いている。

 調査対象とした太陽光関連業者は、①太陽光発電システム販売や設置工事、また太陽光パネル製造やコンサルティングなど 関連事業を主業として手がけるもの、②本業は別にあり、従業として太陽光関連事業を手がけるもの、の両者を含めた。

 同社では、東日本大震災以降、固定価格買取制度(FIT)などの支援策で市場は急拡大し、電源構成に占める割合も増加したが、2019年度の事業用太陽光の買取価格(10kw以上500kw未満)は14円(前年度は18円)と一段と引き下げられるなど、事業者にとって採算の確保が困難になっていると指摘。関連業者には逆風が吹いており、業態転換を図る事例も多い、と分析している。

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同社では、倒産件数が急増した2006年以降の倒産件数402件全体を分析した。それによると、「破産」の構成比が94.0%に達し、「特別清算」と「民事再生法」がそれぞれ3.0%を占めた。

 地域別では、「関東」の構成比36.8%がもっとも高く、次いで「中部」(同17.7%)、「近畿」14.9%)、「九州」(14.2%)の順。市場競争の激しい地域での倒産が増えている傾向が出ている。

 事業者の従業員別では、「10人未満」の構成比が69.7%、「10-50人未満」が同26.9%を占め、中小企業事業者の行き詰まりが多いことがわかる。業歴では、「5-10年未満」が構成比26.9%でもっとも高い。2012年のFIT導入以降に市場に参入、しかし事業環境が悪化し、資本基盤の弱さから、市場からの退出を余儀なくされた中小事業者が増えたとみられる。

 これに次いで、「30年以上」の業歴をもつ老舗の倒産が19.4%を占めた。これらの企業は本業が別にあり、従業として太陽光関連事業に進出したが、市場間競争で出遅れた事例が多い。

 2018年度の倒産件数中、もっとも負債総額が大きかったのは、昨年9月に破産した長野県の「かぶちゃんメガソーラー社」で、28億5200万円。歴代では第7位の負債額だった。次いで今年2月の神奈川県の「エナジーネクスト社」の20億円となっている。

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190402.pdf